関節痛<真の関節痛か関節外の痛みがあるのか>
まずはOPQRSTA
聞く順
Onset:急性、慢性。
Position: 部位からありがちな疾患を推測。局在が限局しているか。全身性か。
Quality:鈍い痛み→関節炎?、しびれ、焼けるような痛み→ニューロパチー?
Time: 痛む状況。特に朝のこわばり。30分以上なら炎症性、以下なら非炎症性。
Radiation:あったら関節外っぽい、あとは神経根障害、脊髄病変など
Severity:VAS(visual analogue scale:0-100mm)
Association:発熱、疲労、皮疹、こわばり可動域制限、腫脹、脱力など
増悪・寛解因子:何をやっても増悪→炎症性。安静で寛解→非炎症性

※ざっくり:運動時痛が強く可動域制限が著しい→関節内(他は関節外)
関節内ならまず化膿性関節炎を除外するために発熱・大関節・単関節に注意。
違いそうなら、痛風・偽痛風を場所(足指とか)や時間(夜~朝)で特定。
で、次にRA、SLE、PM/DM他膠原病疑う(難しい)
最後に変形性関節症の診断。
関節外だと腱や滑膜や色々多い(とりあえずおいとく)
膝単関節疼痛は症例は多いけど感染・偽痛風膠原病・関節症全部でも考えられるので診断には特に気を付けるべき。

除外していく順番
①関節外:靱帯、腱、骨、筋肉、放散痛
特徴:局在がはっきりしていて、能動的に一定方向に動かした時のみに痛み、腫脹は少
ex)腱鞘炎、上腕骨外側顆上炎(テニス肘)、肩関節周囲炎、石灰沈着性腱炎、滑液包炎、筋炎など→各々勉強

②非炎症→変形性関節症(OA):中高年、特に女性、軽度な運動の動作開始時に疼痛出現。関節液の貯留や骨増殖によって腫脹を認めるが、発赤や熱感は少ない。→炎症反応陰性
画像:X線で確認。関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の硬化、骨棘形成など
Kellgren-Lawrence分類:grade0-4確認する。

③罹患関節数
炎症性単関節炎:80%が結晶性関節炎(痛風、偽痛風)、20%が感染性関節炎
痛風:体温低い所、末梢、特に第一足趾節関節が70%、低体温の夜間に発作。40%に家族歴、大酒家のオヤジも。突然の単関節炎、2週間以内に改善。尿酸正常でも否定できない
X線:非対称性腫脹(両側撮影)、骨皮質下嚢胞、軟部組織腫脹、石灰化沈着
関節液:偏光顕微鏡で負の複屈折性?を示す針状の尿酸ナトリウム結晶を確認。

痛風:膝関節に多いけど、大小関節色々。半数は少関節炎などで色々できる。関節液の貯留あり、局所の熱感、全身の発熱も。X線で関節裂隙に点状・線状の石灰化を認める。
・高齢者だと変形性関節症を素因として発症、再発も多い。NSAIDsで2,3日で軽快
・若年発症だとFe,Ca,P,Mgなど代謝異常を疑って検査。ヘモクロマトーシス、副甲状腺機能亢進症、低Mg血症、Wilson病など
膝関節→感染性のものと鑑別が難しい。
手指関節→関節リウマチとの鑑別が難しい。
頸部、環軸椎:crowned dens syndrome, 頸部回旋時に疼痛強い→発熱してた時に髄膜炎との鑑別に迷った時には便利かも。CTで環軸椎周囲(特に歯突起後方)に石灰化
診断は偏光顕微鏡でピロリン酸Caを検出して行う。弱い正の複屈折性を示す方形結晶。
関節液の白血球(2000-5万)も。24時間後再検で感度上がる。初回での感度60%程度?
※ちなみに結晶陽性の5%に化膿性関節炎の合併があるみたい→培養も提出
関節液穿刺したらとりあえずグラム染色、培養提出。

痛風の診断は細菌性関節炎を除外してから確定診断できる?
→じゃあ、毎回関節液穿刺するのか
実際は腫れて赤くて、関節っぽくて、外傷、骨折、腫瘍など除外できている時。
関節液が
・血性→凝固異常、偽痛風、腫瘍、外傷、charcot関節→凝固系確認
・骨髄成分→関節内骨折
・白血球>2000、多核球>75%→結晶、培養→どちらも陰性なら膠原病、ウイルス性、サルコイドーシス、Lyme病

☆化膿性関節炎:基本大関節(60%膝関節、30%股関節、10%ずつ肘肩関節)。3/4に基礎疾患あり:リウマチ、関節疾患、免疫抑制、DM、腫瘍、ステロイド関節注射、透析、皮膚感染、外傷後など
15%で複数関節罹患して、15%で死にがち。
臨床像は発熱して、ぐったり、どことなくシックで大関節に発赤、腫脹、疼痛+それに伴う関節可動域制限。でも、発熱なし、多関節(15%)の場合も当然あるので、大関節への関節液穿刺の検査の閾値は低くしておくべき。習熟する。
※ただ、指節間関節は稀なので、その時は変形、RA、ウイルス感染を考える。
※症状発現から48時間以内の発熱は感染性関節炎の診断では感度90%らしいので使う。
起因菌は半数が黄ブ菌、次いで連鎖球菌、インフル桿菌など、他色々
→GNRもちょこっとカバーしているCEZ①(セファメジン)がおすすめ。ユナシンや他の1-4世代セフェムでもいいけど、CEZは組織移行性が特に良いので良さげ。
2g8時間6週間(MRSAならバンコに変更)
老人で尿路感染、皮膚潰瘍が基礎にあったりすると、GNRになりがち。→ロセフィン
人工関節、免疫不全→緑→セフェピム。患者背景によって使い分けるのかもしれないけど。
何もわからんような状況ならバンコマイシン+ロセフィンで。
※淋菌性:若年・成人に多い。女かゲイ。関節液でも検出感度低いし、何も出なかったら診断的治療でロセフィン(+NS10ml)入れても良いかも。関節液よりも尿道口、子宮頸部、肛門の3カ所からの方が感度良かったり。50%
※人工関節性:基本古い人工関節は除去する。バイオフィルムを形成して、デブリしても再発多数。残すのは3週以内でその他の条件が良さそうな時。診療アルゴリズム参照
長期(6-8週)抗菌薬投与
・治療で大事なのは1日1回の穿刺排膿→治療と治療効果判定のため
※人工関節患者での穿刺は手術室での無菌操作が望ましい。

・急性多関節炎:多くはウイルス性、特にパルボウイルス(血清B19-IgM抗体)に多い→対症療法。たまに化膿性関節炎。

・慢性多関節炎
関節リウマチ:関節症状は多様。朝のこわばりとかあったらとりあえずACR/EULAR分類と抗CCP抗体、RF、ACPA、CRP、赤沈など確認。高齢発症やRS3PE症候群と鑑別

脊椎関節炎(SpA):強直性脊椎炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患に伴うやつなどの総称。体軸関節と末梢関節に病変あり。腱、靱帯、関節包、筋膜などの付着部炎
関節外症状もわりと多い。指趾炎(ソーセージ指)
朝にこわばり、運動で軽快する炎症性腰痛や下肢優位の末梢滑膜炎を認めたら、とりあえず疑う→家族歴、乾癬、炎症性腸疾患、尿道炎、急性下痢、子宮頚管炎の既往、交互性の臀痛を確認
・反応性関節炎:尿道炎後に発症と細菌性下痢後の発症の2種類、細菌感染後、HLA-B27陽性者に無菌性関節炎→NSAIDs治療。クラミジア(IgA, IgG抗体)も確認→陽性ならテトラサイクリン追加

・乾癬性関節炎:乾癬に末梢関節炎、脊椎炎、仙腸関節炎を合併したもの。嚢胞性乾癬、爪乾癬。基本乾癬が先行。乾癬の15%に関節炎を合併。多くは単関節で発症してた関節へ移行する。

・SAPHO症候群:滑膜炎、ざ瘡、膿疱症、骨化症。前胸部の骨炎や骨硬化など

☆変形性関節症:整形外科的に

※Charcot関節(神経病性関節症):無痛性の関節腫脹(25%くらいは疼痛あり)、異常な過活動性、動揺関節、変形、大小多数の遊離骨片、通常単関節。下肢、膝に多い。破壊性変化
 脊髄癆の10%(梅毒による脊髄障害)→膝、糖尿病の0.1%→中足部、足関節、脊髄空洞症の25%→肩、肘)今後は梅毒が減って、糖尿病によるものが増えてくるか。関節内ステロイド注射も類似症状出現することがあるので、2週間のスパンは開けるべき
→外傷説が優位。基本免荷・固定