めまい:浮動性とか回転性とかは気にしすぎない。大事なのは持続時間と誘発因子
分類で便利なやつ
・急性重度めまい:急性発症、重篤、持続性、嘔気、嘔吐、平衡障害→前庭神経炎、小脳梗塞・出血、脳幹梗塞
・反復性頭位めまい;頭位変換により反復性に誘発→良性発作性頭位めまい症
・反復性めまい:メニエール病TIA(特に椎骨-脳底動脈の一過性虚血→失神、易疲労等)

※ヤバいヤツらを除外できればメイロン、アタPで寝かして帰す、ができる。
帰宅時処方はメリスロン(抗めまい)3T3x, アタラックスP錠(25)3T3x 3日間

除外したいヤツ
・心血管性(不整脈、虚血性心疾患、大動脈解離、AMI)→既往の確認
・起立性めまい(消化管出血、子宮外妊娠破裂)→抗血小板薬の内服確認
・中枢性めまい(脳血管障害、脳幹炎など)→一番大事、とりあえず血栓リスク把握
・他に外傷性(外傷歴)、悪性外耳道炎(耳痛)、耳性ヘルペス(水疱) 
中枢性めまいを否定するために
性状、持続時間、発症契機、随伴症状(難聴)、眼振の注視抑制、神経学的所見の確認。
・神経学的所見のポイント:眼が開くなら眼位・眼振確認。名前を言ってもらって、パ行(口唇音)、ガ行(口蓋音)、タ行(舌音)で構音障害の確認。握手、上肢のバレー徴候で上肢麻痺の確認、顔面温痛覚、ホルネル徴候、カーテン徴候を確認。立てるならRomberg試験、指鼻指試験。あとは普通に。
実際、めまいはそれぞれ特徴的な持続時間や性状があるから、それっぽい、ってのは疑いやすい。微妙なのが前庭神経炎と中枢神経疾患(脳幹梗塞、小脳梗塞)。ともに持続的なめまいで眼振あり
☆なんで小脳梗塞がややこしいのか?→小脳栄養血管にはSCA(上小脳動脈)、AICA(前下小脳動脈)、PICA(後下小脳動脈)の3つがあって、AICAは小脳の他、蝸牛にも血液供給し、PICAは小脳の他に橋の前庭神経核にも血液供給してる。だから、AICA梗塞なら小脳×だけど、内耳×→BPPVっぽくなるし、PICA梗塞なら小脳×だけど、前庭×で眼底神経炎と同パターンの眼振になってしまう。BPPVなら他の症状で区別つきそうかもだけど、前庭神経炎と区別するための対策は?
・やった方がいいかも:HINTS<感度100%, 特異度96%>
Head Impulse test(HIT):対面に座って、患者に検者の鼻を注視してもらう。顔を両側から支えて10度くらい左右に回転させる。振る?ゆっくりなら顔の動きに応じて眼も動くけど、素早く顔を戻した際に眼球が流れていってしまう。人形の現象と似たようなもの。
で、テストが陰性なら除外できそう。陽性だったら…感度は低いので微妙。
中枢性っぽいのは他に
Nystagmus(眼振):垂直方向性眼振、方向交代性眼振(注視方向により眼振の向きが変化)
Test of Skew(眼位):斜偏位
3つ陰性なら中枢性は結構否定的。
・BPPV:頭位変換時出現、1分以内、回転性(微妙)、蝸牛症状(難聴、耳鳴り)なし
ディックス・ホールパイク試験:顔を45%回旋させて急に体を後ろに倒してめまい誘発。
治療;メイロン+ アタラックスP+NS50ml→帰宅時にアタP内服処方
急性期の対症療法の対象は脳、椎骨動脈、内耳の血流の増加がめまいの改善に結びつくみたい。
・メイロン(炭酸水素Na):HCO3が代謝されてCO2になって、それが血管拡張作用。血中のNa濃度が上昇することによって血漿浸透圧上昇で血流量増加。日本独自。エビデンスないけど経験的に効く。アシドーシスも是正。
アタラックスP(ヒドロキシジン塩酸塩):第1世代抗ヒスタミン薬、5-HTa2やD2、α1拮抗作用もあって、抗不安、鎮静、制吐作用もあって便利。

メニエール病:反復性の回転性めまい。数分~数時間持続。難聴あり。
めまい、嘔吐に対してはBPPVと同じメイロン+アタP。
難聴へのステロイドは実際どうか?難聴の程度の問題や、低音性・高音性の評価も急外だと無理だし、翌日受診が無難か。使わない方がまだマシか。アデホスエビデンスないし…

・前庭神経炎:数日持続、回転性、嘔気・嘔吐あり、難聴なし、ウイルス先行感染あり
※末梢神経性だけど小脳性(中枢性)めまいとの鑑別が難しい。
HINTで見分け。BPPV同様対症療法。


中枢性<脳血管障害>
・脳幹梗塞、小脳梗塞
前庭神経炎と鑑別するためにHINTしてRomberg試験して、小脳っぽいか確認。
→中枢性疑うなら、頭部MRIが必要。→コンサルト

慢性経過の不動性めまい→6割が心因性。アタp