しびれ:疾病、栄養、薬剤を解剖学的アプローチと病態的アプローチで考える。
→一旦ザックリ情報集めて、選り分ける?除外したい疾患像を前提として診察する?
頻度:坐骨神経痛20%、頚椎症20%、手根管症候群15%、うつ病15%、不安障害5%、糖尿病5%くらい。あくまで1病院の1例だけど、整形、精神、糖尿病がコモン。
他の疾患、神経・代謝・内分泌・血管・免疫をどこまで詰めるか。鑑別多すぎ。
※稀な疾患だけど、死んだり壊死したりする疾患を除外するのは大事。
→血管性:動脈閉塞、解離、脳梗塞・出血、Myelopathy(脊髄の硬膜外膿瘍、出血、血腫)
→呼吸筋麻痺起こす:Guillain-Barre症候群、重症筋無力症、PM/DM、多発硬化症

①まずはしびれの症状解析(OPQR)しびれだけでは何も分からん。随伴症状が大事。
・とりあえず場所。→ジャブ。以下から本番
・Onset,Timeでおおまかに。完全に分類するのは無理そう。スペクトラム的に?
突然発症→血管病変(注意:発作的に出現し、発作間は症状なし→てんかん、周期性四肢麻痺、重症筋無力症、低血糖、一過性脳虚血発作、片頭痛、疼痛性チックなど鑑別)
急性発症(数時間~数日で回復):感染、中毒、自己免疫、代謝電解質、内分泌、心因性
慢性経過:腫瘍、栄養、尿毒症、DM。アルコール、心因性
再発・寛解性:多発性硬化症
・Provocation特定の疾患では参考になる(血管病変or馬尾神経の鑑別とか)
増悪・寛解因子:(例)歩行で増悪:立位安静で軽快→動脈。しゃがんで軽快→馬尾神経。
・Region:場所。デルマトームに合致するものか。典型的な分布領域があるものか。
全部を調べるのは時間がかかりすぎる。特に問診から推定される障害部位に焦点を当てて、矛盾した所見はないか、神経局在はどこか、原因はなにかを検討する。

☆Related symptom:痛み・運動障害、全身徴候、その他の症状。超大事。ここが本番。
神経系(大脳、脊髄、末梢神経~)orその他(炎症、血行障害、テタニー、パーキン、心因性)
・神経系中枢性or末梢性(ここは国試的な知識が役立つかも)
中枢性→腱反射亢進、病的反射あり、筋痙縮、攣縮はなし、感覚障害は不定。解離性感覚障害あり、巧緻運動障害あり。ガッチン・ビックン
末梢性→腱反射減弱、病的反射なし、筋弛緩、攣縮はあり、感覚障害はあり。解離性感覚障害なし、巧緻運動障害なし。ダラーン・ピクピク
運動・知覚、温痛覚・反射を調べる。
で、さらに具体的に(これほんと教科書的)
・大脳:皮質→顔面神経+同側の体部のしびれ→脳血管障害、腫瘍、MS、脳炎など
・脳幹<内包・上視床脚>→顔面神経+対側のしびれ他
・延髄外側症候群→片側の顔面の温痛覚低下+対側体部の温痛覚低下

①脊髄:高位によって部位変動。診察大事。原因疾患の鑑別多い。障害部位から
・脊髄中心障害:中吊り型の運動・感覚障害→脊髄空洞症、腫瘍、視神経脊髄炎など
・脊髄前方障害:後ろよりも拘束しやすい。急激に発症する対麻痺四肢麻痺、以下の解離性感覚障害(温痛覚のみ障害)、膀胱直腸障害→前脊髄動脈症候群、椎間板ヘルニア、圧迫骨折、後縦靭帯骨化症、腫瘍など
・脊髄半側障害:障害側の運動・感覚障害→椎間板ヘルニア多発性硬化症、腫瘍
・脊髄後方障害:後脊髄動脈は前と違って2本ある(動脈叢?)ので梗塞しにくい。でも、梗塞したら、後索X<以下の深部感覚障害>、後角X<髄節レベルの全感覚脱失>→こう脊髄動脈症候群、MS、サルコイドーシス、Sjogren症候群、vitB12・銅欠乏、神経梅毒など
横断性脊髄障害:完全なものはブラウン・セカール症候群<同側レベルでの完全感覚麻痺+同側以下の深部感覚麻痺+対側以下の温痛覚麻痺+膀胱直腸障害>→外傷、横断性脊髄炎(SLE、Sjogren、MS他)
注意すべきは、下肢由来の運動神経や感覚神経は脊髄内の最外側を走行するため出血・血腫などで圧迫されると下肢から上行する脱力やしびれを認める。また、脊髄圧迫から完全麻痺になった場合のゴールデンタイムは48時間以内なので見逃しはヤバい。
その他疾患
病歴から
vitB12欠乏:亜急性連合性脊髄変性症→大球性貧血の他に末梢神経障害、脳症も。
銅欠乏:亜急性~のやつと臨床像は似ている。疑ったら、vutB12と銅はセットで測定
多発性硬化症寛解再発型(1,2週で増悪して数カ月で寛解)時間的空間的多発。MRI診断

②末梢神経
・神経根障害:脊髄から出てちょっと下がっているので、脊髄のデルマトームと比較してちょっと下側の分節が障害される。
原因は頚椎症(加齢性変化)か圧迫(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、血腫・膿瘍・骨棘など)
他に感染(ヘルペス系)や外傷(引き抜き症候群←バイク事故)
・神経叢障害→腕神経叢<Pancoast腫瘍でC8,Th1領域の感覚・筋力低下、ホルネル徴候、胸郭出口症候群、首長、なで肩女性。腕上げ動作でしびれ・痛み。Morley,・Wright test>
・馬尾神経叢<腰部脊柱管狭窄症。間欠性跛行や姿勢変化が特徴>

③単神経障害or多発神経障害:痛み強いしびれにはNSAIDs(ブルフェン=イブプロフェン)
・単神経障害:手根管症候群<正中神経圧迫で麻痺、しびれ>→Tinel徴候(掌側手根管叩打で放散痛)、Phalenテスト(手関節屈曲で1分間維持してしびれ・疼痛増悪、戻して消失)

三叉神経痛・肋間神経痛:血管による神経の圧迫
特に三叉神経の第3枝のみ(膿瘍・腫瘍)圧迫→片側の下顎のしびれ(numb-chin syndrome)
絞扼性末梢神経障害:肘部管、腕神経、手根管、足根幹、大腿神経、腓骨神経など

・多発神経障害:これも重要。鑑別大切。確定:DTR両消失、下垂足→踵立ちができない。正常・異常の境界が曖昧、靴下・手袋型←参考程度に
大まかには遺伝性、代謝性、免疫異常、腫瘍関連、感染関連の5つに分けられる。
原因のAIUEGBTIPS覚えやすそう。AIUEコモン、GB大事、TIPSはTIPS
鑑別多すぎ。原因不明の多発神経霜害。だいたいDM,アル中、サイコだけど10%くらいにレアな疾患が詰まってる。
Alcohol/Auoimmune:アルコール、自己免疫(SLE, RA, Sjogren)
Insulin:糖尿病、低血糖
Uremia:尿毒症、腎不全
Endocrine/Elect:甲状腺機能低下、電解質異常(K, Ca, Zn, Cu, P, Mgも)
Guillain-Barre症候群:呼吸筋麻痺で死にうる。原則入院、神経内科コンサルト
B:vitB1, B12欠乏症
Tumor/Toxic:腫瘍/中毒(金属、抗がん剤、他)
Infection:感染(HIV、ライム病)
P:ポルフィア、アミロイドーシス、PBC、多血症など色々
Salcoid/Syphilis:サルコイドーシス、梅毒
☆良さげなスクリーニング検査
血算、赤沈(CRP)、vitB12、葉酸、血糖、肝・腎機能、甲状腺機能、免疫電気泳動(MGUSγグロブリン血症)、尿定性、尿Bence johnes蛋白(MGUS、アミロイドーシス)、抗核抗体入れる?(血管炎に)(病歴・職歴で疑われた場合)薬物、毒物のスクリーニング

特徴
・疼痛が強い→血管炎、糖尿病、アルコール症など
・自律神経障害
緩徐出現→糖尿病、アルコール依存症、アミロイドーシス(皮下脂肪吸引細胞診は超有用)、尿毒症。
急性に出現→Guillain-Barre症候群、腫瘍随伴症候群
・感覚失調
急性出現→Guillain-Barre症候群、亜急性→腫瘍随伴症候群、IgM型M蛋白血症
慢性→vitB12欠乏(貧血、MCV高値がなくても否定できない)
・靴下・手袋型ではない場合
上肢から亜急性に進行し、左右非対称(多層性)→腫瘍随伴症候群(肺小細胞癌、乳癌に多い。)
遠位優位ではない場合→膠原病(特にSjogrenn症候群)疑う。

確定診断には神経伝導検査や皮膚生検など?そこまでしなくてもよい?

 


ピックアップ
・Guillain-Barre症候群:ウイルス感染(ヘルペス系、カンピロ、マイコプラズマ)に自己免疫で多発神経炎。単相性、下肢から出現、進行して上肢へ。4週以内にピークに達して軽快。神経伝導検査は末梢神経に障害を局在できる可能性が高く、有用。原則入院。
※亜型として、Fisher症候群[外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失]

・アミロイドーシス:全身諸臓器に沈着して臓器障害おこす。巨舌とかも?疑うのが大事
限局性:脳ならアルツハイマー病、プリオン病、脳アミロイドアンギオパチー。あとは手根管症候群や多発神経炎とか関係ありそう。
全身性:臨床徴候は沈着臓器による。疑ったら、血清や尿の蛋白分画を確認してM蛋白を同定、免疫固定法によって異常蛋白を同定する。生検で確定診断。
・血管炎(中小動脈):多発単神経炎が多いけど、多発神経炎との区別はできない。
正直糞難しい。非特異的だし、頻度は低いからつい後回しになりそうだし。
結節性多発動脈炎、ANCA関連血管炎、顕微鏡的多発動脈炎:抗体や造影CTとか。
疑うのは「炎症」「出血」「虚血」に伴う徴候。紫斑、網状皮斑、潰瘍などの皮膚病変
→こんなん出たら、抗リン脂質抗体症候群も鑑別したり、APTT延長、LACとか調べる
・糖尿病性末梢神経障害:多い。血糖コントロール悪いヤツに出現。飛びつきたくなる。
感覚障害が下肢遠位部から年余にわたって緩徐に上行。
☆筋力低下、左右非対称、手主体の感覚障害なら別の疾患を考えるのが大事。
・→例えば傍腫瘍症候群とか:亜急性の四肢遠位部の非対称性感覚障害。これはあくまで、腫瘍の浸潤や転移ではなく、免疫学的機序によって症状が出現するのに注意。肺小細胞とか乳癌とか。腫瘍と確定診断される前に症状出現していることが結構あるみたいだから、早期診断のためには割と重要。温痛覚よりも深部感覚(位置覚、振動覚など)が障害されやすいので診察は丁寧に行う。
・POEMS症候群:Peripheral(末梢神経障害。両下肢から)、Organomegaly(臓器腫大、肝脾腫、LN腫脹→キャッスルマン病)、Endocrin(内分泌異常、DM、下垂体、諸々障害)、M蛋白、Skin change(皮膚変化、色素沈着、チアノーゼ)
原因は形質細胞が産生するVEGFによって血管透過性が亢進して症状が出現すると考えられているらしい。形質細胞腫(M蛋白)+多発末梢神経炎+αで疑う。骨硬化性変化が特徴的

・薬剤性:フェニトイン、イソニアジド、アミオダロン
・中毒:キノコ、フグ。シガトキシン→「ピリピリアイス」サンゴ礁→魚凝縮→食、発症
・若年女性:過換気症候群(口のまわりのしびれや四肢のしびれ)呼吸性アルカローシス(PaCO2低下)、浅い呼吸

・CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎):2カ月以上、緩徐進行の四肢筋力低下、感覚障害。おまけ程度
・CIAP(慢性特発性軸索性多発神経炎):高齢者の緩徐進行する両下肢のしびれ。おまけ

※解離性感覚障害:表在感覚(脊髄視床路)と深部感覚(後索路)のいずれか一方が障害される、脊髄障害の不完全型。
※口と片側の手のしびれは視床病変に特徴的なので頭部CT/MRI撮影する。

末梢動脈性疾患、急性閉塞疑してたら緊急カテとか、閉塞してなかったらら、cilostazol(プレタール)(100)2T2x抗血小板薬。後日再診。

・脊髄硬膜外膿瘍
・PM/DM
・重症筋無力症