嘔吐:症状も大事だけど、随伴症状から疾患の見当をつけるのが非常に大事。
ざっくり3x3で覚える。症状から判断。
頭頚部疾患
・頭痛→頭蓋内病変→SAH、脳腫瘍、髄膜炎緑内障、悪性高血圧
・回転性めまい→前庭障害→中枢・抹消性めまい。中枢性めまいは持続する。
咽頭刺激→口腔内刺激後→生理範囲
胸腹部疾患
・胸痛→心臓→急性冠動脈症候群(ACS)
・腹痛→腹部→虫垂炎(疼痛→嘔吐のやつ)、婦人科疾患、肝胆膵、泌尿器系もろもろ
・下痢、便秘、嚥下困難→消化管→アカラシア、急性胃炎、胃癌、腸閉塞

その他
・薬物接種歴→薬剤性→NSAIDs,抗がん剤、アルコールなどわりとなんでもあり
・口渇、多飲、多尿、若年女性→代謝→高Ca血症、糖尿病性ケトアシ、妊娠
・習慣性→心因性→ストレス反応

上記症状があったら、それぞれの流れに沿って診断していく。
☆病歴で心血管リスクあるなら心電図はやるべき。めまいがあって歩けない者は帰さない。


※症状に対する対症療法は
→飲んでも吐くのでまず点滴。その際に採血(敗血症なら血培、ケトアなら静脈血ガス追加)
→メトクロプラミド(プリンペラン)orドンペリドン(ナウゼリン)どっちでもよい。
※妊婦ならプリンペラン使った方がいい。授乳婦ならナウゼリン使う。
おまけ:術中・術後の嘔吐予防にはデカドロン(錠、内服できる)が良さげ。デキサートはiv
※作用機序
・消化管(5-HT3)→プリンペランナウゼリン。(カイトリルは5-HT3特異的な阻害薬だけど、高価なので使わない。)
・前庭神経(H1, AChのM1受容体)→トラベルミン
・CTZ(嘔吐中枢の化学受容体誘発体)→プリンペランナウゼリン(D2と5-HT3)、コントミン(D2とH1)、セレネース(D2)

※合併症に注意
脱水→電解質異常
誤嚥誤嚥性肺炎
頻回→Mallory-Weiss症候群

だいたい、急性胃炎(上腹部症状のみ)、急性胃腸炎(下痢も)→輸液と対症療法

糖尿病患者で直近に感染の既往があったり、原因不明の腹痛・下痢があったりしたら糖尿病性ケトアシドーシスを考える。意識障害よりも腹痛・下痢の方が症状の頻度は高い。あと、DKAはクスマウル呼吸(早く深い規則正しい呼吸)

原因の覚え方2個目(NAVSEA)
Nerro:中枢神経系、頭蓋内圧亢進(腫瘍、出血、髄膜炎)、脳血管(梗塞、出血)
Abdominal:消化管系(潰瘍、炎症、イレウス、肝胆膵炎なんでも)
Vestibular:前庭神経(めまいの前庭神経炎、頭位めまい、メニエール)
Sympathetic:交感神経系の興奮
Electro, Endocrin:電解質、内分泌代謝異常
Addiction:中毒(オピオイド抗がん剤ジギタリス、アルコール、テオフィリン)

 

おまけの漢方
六君子湯四君子湯+陳皮・半夏→もともと消化器機能異常(グレリンとかのホルモン)を改善する四君子湯に燥性をもつ陳皮・半夏を加えてたやつ。日本では冷たい、湿ったものを食べがちで腹の中がシトシトになりがち→乾燥も加えた六君子湯がよく売れる。
※でも、乾燥性の副作用(口腔内乾燥などの所見)を起こしてもおかしくないので、六君子湯使ってる人の口腔内はちょっと確認してみてもいいかも。