外傷:下肢

外傷:下肢

膝周囲の外傷・骨折
→大腿骨遠位部骨折、膝蓋骨骨折、脛骨高原骨折
外傷で膝のXpを撮影するかの基準
オタワknee rule
①    55歳以上
②    腓骨頭の圧痛
③    膝蓋骨単独の圧痛
④    90°屈曲できない
⑤    荷重できない

膝周囲の受傷・骨折部位の特定
触診:大腿骨内顆、大腿骨外顆、膝蓋骨、脛骨関節面内側、脛骨関節面外側
※骨折していたら全体的な腫脹・弱い圧痛があるが、特別に強い圧痛点を特定することが大事。

Xp:膝関節正・側面2方向。(膝蓋骨圧痛あれば軸写も)
CT:X線ではっきりしない場合、治療方針決定目的。撮った方が良さそう。
MRI:半月板・靭帯の軟部組織評価メイン。骨折においては脛骨高原骨折の際の(逆側の)側副靭帯損傷の評価に使う。

治療方針
大腿骨遠位部骨折:基本手術。ずれがない骨折や粉砕が強く固定できなさそうな場合は保存治療が選択されることもある。
膝蓋骨骨折:縦骨折→保存。横骨折→手術
脛骨高原骨折


膝蓋骨骨折
オタワknee ruleの所見確認。
保存か手術か

0~1週:炎症期。
1~2週:修復期開始。骨折線あり。
1~2月:修復期。Xpで骨折線が徐々に消えてくる
2~3月:安定期。リモデリング期。Xpで骨折線の消失。

☆☆Xpで2mm以上の関節面の段差、3mm以上の骨片転位がないかには常に注意しておく。治療早期でも転位が起こったら、不安定骨折として観血的整復固定術の適応となる。

 


足関節果部骨折
語彙:Supination=回外(底屈+内旋+内返し)、Pronation=回内(背屈+外旋+外返し)、Adduction=内転、Abduction=外転、external rotation=外旋

機転:受傷機転

問診
視診:歩行困難、足関節部の腫脹、強い圧痛
触診:内果・外果の骨に強い圧痛、
鑑別:メゾヌーブ骨折(腓骨高位骨折と内果骨折、腓骨近位の触診で確認)
Xp:足関節正・側・両斜位。内果・外果・後果を確認。内果の開きで不安定性評価。
CT:複雑な骨折の場合、精査目的に追加
治療
骨折がはっきりしない:膝下~足部のシーネ固定+RICEの徹底。
開放骨折、脱臼あり:緊急手術(可能な病院への転送)
内果単独or外果単独で骨折部にずれがない:ギプス固定(全5,6週。3,4週から荷重)
他:手術。ただし、時間経過で腫脹が強くなり水疱形成するような場合には手術延期
<皮膚の状態をこまめにチェック>。手術は整復・プレート固定
術後は簡単な固定(シーネ)して、2週以降より荷重開始。
☆外果単独骨折ならかなり早期でも大丈夫そう。
プレート抜去は術後1年目安。

合併症(説明):足首の関節で骨折している。ずれがなければギプスを1カ月半程度装着して治療。手術はしてもしなくても治療に4カ月はかかる。しかし小さな関節のためわずかなずれでも大きな悪影響を及ぼす可能性がある。そのため手術で直すことが多い。
安静・固定・冷やして挙上が必要。腫れが強くなると水疱ができたりして手術を延期する必要性がでてくる。

 

 

足関節捻挫
受傷機転
・自立可能か、歩行可能か。荷重をかけられるか、荷重をかけた歩行は可能か
視診:疼痛、腫脹の部位。皮下出血
触診:圧痛点<前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯>
前方引き出しテスト、内反ストレステスト
Xp:足関節正・側2方向<外果自体に痛みがある場合に骨折疑いで斜位2方向を追加>
CT:症状が遷延する場合に施行

鑑別:骨軟骨損傷、足関節骨折、第5中足骨基部骨折、外脛骨、リスフラン損傷

治療
疼痛なし、圧痛なし→経過観察のみ
歩行可能、圧痛あり→装具(サポーター)と湿布
☆歩行困難、腫脹強度→シーネ固定(疼痛に応じて荷重)
→安静、1,2週間後に再診し再度評価。疼痛・腫脹が改善し歩行時荷重での疼痛消失していれば装具(サポーター)固定に変更、1カ月装着。疼痛継続時はギプス継続+MRI精査

合併症(説明):痛めた靭帯はそのまま動かし続けるとしっかり治らず慢性的な痛みとなる化膿性がある。固定・安静大事。期間は1カ月程度。骨へのダメージが強い場合は精査必要


踵骨骨折
受傷機転:高所から転落
視診:踵部分の疼痛・腫脹
触診:
Xp:踵骨側面像、アントンセン像、軸写像
読影:側面像でベーラー角の減少、軸射像で踵骨横径の増大(載距突起も確認)、アントンセン像で後距踵関節を確認(関節面の骨折があると後距踵関節が見えなくなる)
CT:基本撮影する。3方向
分類
舌状型:距踵関節部の不適合性と踵骨全体が破壊され、つぶされたように見える
関節陥没型:

初期対応:シーネ固定で足関節を中間位か軽度底屈位で固定+RICE→まったくずれがなければギプス固定にして5~8週間固定(膝下~足まで)

徒手整復法→大本法:下腿を上方に強く牽引しながら骨折部を素早く内外反させる。

☆手術適応(一例):後距踵関節の不整、関節面の陥没、後方骨片がアキレス腱によって引っ張られ、後上方へ転位する骨片を認める場合
→ピン固定

※距骨骨折だった場合には血流が非常に悪い骨折であり、関節面に骨壊死を起こす可能性があることは説明するべき。