診療:腰背部

診療:腰背部

腰痛;大事なのは3種類のトリアージ
発症年齢が20才以下か55歳以上。体重減少。時間や活動性に関係ない腰痛。
広範囲に及ぶ神経症状。胸部痛。脊椎変形。
癌・ステロイドHIV感染の既往。発熱。栄養不良。
⇒Red flag  画像、血液検査で精査<腫瘍、感染、骨折>
神経症状を伴うか
神経症状:急速進行性、明らかな筋力低下を合併、膀胱直腸障害
神経根症状:片側の下肢痛が腰痛よりも強い、足部や足趾に放散する疼痛、同じ部位のしびれと感覚低下、下肢伸展挙上テスト陽性
⇒画像診断、危険信号・心因性要素の再評価
それ以外
非特異的腰痛として4~6週の保存的治療
 ⇒効果不良な場合に初めて画像検査


基本:
問診:AMPLEの他。大事なのが発症年齢と発症の契機<最後に記載>
視診:歩行の状態、苦痛の有無。脊椎の変形(斜頚、側彎など)、皮膚病変(カフェオレ斑、帯状疱疹)、筋委縮。脊柱の前後屈、側屈、回旋運動。運動制限あったらそれが疼痛性(ヘルニアなど)か不撓性(強直性脊椎炎など)か。

触診:配列と圧痛/叩打痛と脈拍
 棘突起の配列を確認して脊椎の変形(側彎・階段状変形)を調べる。
 棘突起、傍脊柱筋、肋骨脊柱角、坐骨神経の圧痛/叩打痛を調べる。
 間欠跛行あったら、足背動脈、後脛骨動脈、膝窩動脈を触診。
検査:徒手検査と画像検査
徒手検査
 Jacksonテスト:頸椎軽度伸展で軸方向に圧迫→神経根圧迫で患側上肢に放散痛。
 Spurlingテスト:頸椎軽度伸展で患側に屈曲→神経根圧迫で患側上肢に放散痛。
 SLRテスト:仰臥位で下肢伸展挙上。坐骨神経に沿った下肢痛誘発。L4~S1で。
 FNSテスト:大腿神経伸展テスト。腹臥位で膝曲げて、股関節伸展。L2~L4で。
 Kempテスト:立位。体幹を患側に側屈の状態で後屈。下肢痛誘発。椎間孔狭窄
・画像検査
 だいたいX線は撮影(正側2方向)、脊髄病変疑う(ヘルニア、脊柱管狭窄症など)ならMRI、ミエログラフィ(脊髄造影)。腫瘍ならシンチ、化膿性脊椎炎ならX線、MRIなど。側弯症なら全脊椎正面像。すべり症なら前後屈でのX線側面像。靭帯骨化症ならCT。
☆骨折(早期)疑いなら、必ず脂肪抑制(STIR)を撮影する。

発症
・生後1週頃から頸部の腫瘤(胸鎖乳突筋内、拘縮)と斜頸位→先天性筋性斜頸(首は患側、顔は健側に傾く)
・小児~思春期の男児のスポーツ→腰椎分離症(第5腰椎に多い。X線斜位像。急性期ならコルセットで治療可能)
・思春期の女子→脊柱側彎(前屈時の背部肋骨隆起)。特発性が多い。

・20~40代→腰椎椎間板ヘルニア。腰痛・下肢痛(坐骨神経痛)。SLR/FNSTテスト。咳やくしゃみで響くような症状のDejerine sign。検査はMRIが最も有効。次いでCT。
治療は基本保存治療<NSAIDs、トラムセット、リリカなど>。膀胱直腸障害→手術。
「症状の進行で筋力低下や尿・便が出づらくなったりするので要チェック。その時手術」
 鑑別に仙腸関節障害もある→仙腸関節に一致した圧痛。保存治療。

・30~50代→頸椎椎間板ヘルニア。頸部から背部・上肢に放散痛(神経根症状)。四肢の痙性麻痺(脊髄症状)。神経根障害例にJacksonテスト、Spurlingテスト。

・中高年→腰部脊柱管狭窄症。馬尾性間欠性跛行(前かがみで軽快)。進行例では膀胱直腸障害あり。ASOとの鑑別が重要。

・中高年→頸椎性脊髄症(頚髄症)。徐々に進行する四肢の痙性麻痺。初期は四肢のしびれ感、巧緻運動障害(はし)、痙性歩行(階段歩行困難)

・中高年(女性)→腰椎変性すべり症。腰部脊柱管狭窄症の原因になる。分離すべり症もあるけど、こっちは分離症の症状(神経根症状の下肢痛), Xp側面像でのすべり。

・閉経後女性→骨粗鬆性椎体骨折。胸腰椎移行部に多い。どこでも骨折起こしうる。

原因別
・外傷(?)→靭帯硬化症。後縦靭帯骨化症黄色靭帯骨化症。脊髄圧迫で痙性麻痺症状。
・糖尿病、腫瘍に合併(日和見感染)→化膿性脊椎炎。激しい腰背部痛と発熱。転移性脊椎腫瘍と脊椎カリエスとの鑑別が重要。
・悪性腫瘍+夜間痛→転移性脊椎腫瘍。進行性の腰背部痛。夜間・安静時痛。かなりの苦痛。腫瘍の進展で脊髄症状や神経根性疼痛が生じる。

☆腰痛
まずはRed flagを確認。
発症年齢が20才以下か55歳以上。体重減少。時間や活動性に関係ない腰痛。
広範囲に及ぶ神経症状。胸部痛。脊椎変形。
癌・ステロイドHIV感染の既往。発熱。栄養不良。
※大事なのは腫瘍、感染(炎症)、外傷(骨折)、神経症状などの大事なものを鑑別・除外すること。
腫瘍・感染:破壊性脊椎病変→脊椎正中の棘突起の叩打痛。体動で軽快しない(楽な姿勢がない腰痛もヤバい)→高齢者でそんな症状がある時は骨盤正面像(腫瘍の転移が多い)Xpも撮影する。
腸腰筋膿瘍:股関節屈曲位。発熱、CRP上昇。強度の痛み。
神経症状:ヘルニアなどでも神経症状(特に膀胱直腸障害がある場合など)は緊急手術が必要になる場合がある。SLRやFNSTなどのテストも大事。
他のやつ:大動脈解離→背中の移動痛、腹部症状、冷や汗かく強い痛み→造影CTへ。
多発性骨髄腫→腰部以外に胸部、四肢にも痛みがある場合、他には貧血、高Ca血症、腎障害がある場合に考える。

非特異的腰痛なら基本保存的治療。
疼痛にはアセトアミノフェン(高齢者は腎機能が悪くなりがちなので)
治療のゴールドスタンダードはない。自然軽快もある。大事なのは危険な徴候を見逃さないこと。(腫瘍・血液・内科疾患なら)専門医へのコンサルトができること、

※しびれなど神経症状があって、腰部脊柱管狭窄症などの診断がついてたら
治療
リマプロスト(5)3T3x:PGE1製剤、血流改善
メチコバール(500)3T3x:vitB12

腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール 評価項目 判定(スコア)
病歴
年齢 60歳未満(0) 60~70歳(1) 71歳以上(2)
    糖尿病の既往 あり(0) なし(1)
問診
間欠跛行 あり(3) なし(0)
立位で下肢症状が悪化 あり(2) なし(0)
 前屈で下肢症状が軽快 あり(3) なし(0)
身体所見
前屈による症状出現 あり(-1) なし(0)
後屈による症状出現 あり(1) なし(0)
ABI 0.9 以上(3) 未満(0)
ATR低下・消失 あり(1) 正常(0)
SLRテスト 陽性(-2) 陰性(0)
合計点数が7点以上の場合は,腰部脊柱管狭窄症である可能性が高い.

機転:
視診:
問診:
触診:
検査:
鑑別:
合併症(説明):
治療:


機転:
視診:
問診:
触診:
検査:
鑑別:
合併症(説明):
治療:


機転:
視診:
問診:
触診:
検査:
鑑別:
合併症(説明):
治療: