小児:膝・足
足趾
先天性の足趾変形
・内反趾(curly toe):3~5趾が内向きに丸まる。治らないけど困らない。整容面で気になるなら学童期以降に長趾屈筋腱切離術を検討。
・内反小趾(overriding fifth toe):5趾が4趾に乗り上げるように変形。成長して徐々に目立ってくる。靴のtoe boxに接触して痛いときは手術。伸筋腱切離と皮膚の形成術を検討。
・重なり趾(overlapping toe):乳幼児期からのものは問題ない。学童期以降に進行していくものは内反小趾、中足骨短縮症など。手術を検討する。
・短趾症:治療法はない。見た目を気にしないように説明。煙草他原因は諸説あり。
次の子を望む場合には妊娠中に体内へ入るものへ注意が必要と説明。
・外反母趾・母趾短趾症:稀だが注意。進行性骨化性線維異形成症(FOP)疑う。
頸椎、肩甲胸郭関節の運動制限がないか確認。刺激されたところが骨化する。外傷予防、齲歯予防。Xp撮影。専門医へ紹介。
検査:足部全体のXp撮影。
成長に伴う足趾変形
・中足骨短縮症:中足骨骨端線の早期閉鎖。進行性に変形が進行する。4趾に多い。Turnar症候群や先端異骨症(偽性副甲状腺機能低下症)が原因の時もある。成長終了後(小学6年生)以降に骨延長術行う。
・外反母趾:乳幼児期は要注意だが、学童期以降は成人のものと同義。装具療法は疼痛軽減のみ目的。変形の改善は見込めない。2趾と重なるような重症例には骨切り術。
他
・足趾の骨溶解(原因不明):凍傷あればマイクロジオディク病疑う。自然修復。
・爪下外骨腫:爪下に骨性隆起が起こり、変形・疼痛を生じる。時に爪を突き破って骨が突出する。手術で切除すると変形改善。再発を繰り返す難治例あり。
足
先天性の変形
・他動運動:徒手的に整復、中間位にできれば問題ない。経過観察で自然軽快。
垂直距骨(疑い)も底屈位で矯正可能なら、oblique talus(斜め距骨)。Xp(最大底屈位)で診断。
・自動運動:麻痺性踵足。足をくすぐったりして自動運動を誘発。原因の多くは脊髄髄膜瘤。開放性なら肉眼で診断されている。閉鎖性or脊髄脂肪腫ならMRIで診断。
異常ある時
・先天性内反足:足部内転+背屈制限。Xp:正面と背屈側面
前足部の内転、後足部の内反、尖足、前足部の回内とそれによる凹足変形の合計5つ変形要素がある。
最初の矯正は尖足矯正を行わずに前足部を回外、外転させる。前足部の回内変形と内転を矯正すれば、腫骨は距骨の下で外転して矯正される。腫骨が外転位になるにつれ後足部の内反も自然矯正される。距骨・踵骨の位置関係が正常化してから尖足の治療、アキレス腱切腱術を行う。
先天性内転足:足部内転のみ
・垂直距骨:足が前後方向から上に引っ張り上げられるイメージ。距舟関節が脱臼して下方凸に折れ曲がる。前足部を底屈しても改善しない。前足部を底屈させて距舟関節が整復される場合は軽症のoblique talus(斜め距骨)という。
治療は逆pontesi法:前足部をpontesi法の逆に回内、内転させて整復。ギプス整復で矯正後、矯正部分を鋼線固定、アキレス腱切腱術。
・扁平足
幼児期の生理的な外反偏平足:ほとんど治療なしで自然に改善。病的なものの除外が大事。
病的①:下腿三頭筋の拘縮(長短腓骨筋も)。痙性麻痺(脳性麻痺)。
治療:下腿三頭筋の延長・長腓骨筋の筋間腱延長術。尖足合併あれば夜間・シューホーン型短下肢装具
病的②:足根骨癒合症。距骨-踵骨。踵骨-舟状骨。舟状骨-楔状骨など。
Xp、3D-CTで確実に診断。外反偏平足で胼胝形成するようならトータルサポートの足底板を作成する。改善なければ骨切り・癒合部の切除術。
病的③:関節弛緩。二分脊椎(膀胱直腸障害)。全身の関節弛緩<結合織疾患:Down症、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群>→循環器内科へ紹介。
・つま先歩行:踵歩行・つま先歩行させて、歩容を確認。腱反射・クローヌスを確認。
乳幼児期なら問題なし
幼児期以降なら特発性つま先歩行、脳性麻痺。
学童期以降+凹足の傾向あればCarcot-Marie-Tooth病(CMT)疑う。
・特発性つま先歩行:原因不明。変形なく、痙性なし。普段の歩行時につま先歩行になるが、踵接地を指示すると普通に歩行できる。5%の子供にみられ、5歳までに60%、10歳までに80%くらいが自然に治る。症状持続し拘縮が進行したら装具や手術。
足部内転拘縮が幼児期まで放置されていたらネグレクトを疑う。
・Charcot Marie Tooth病:見逃し多い。つま先歩行、凹足、下肢腱反射消失で疑う。親の足も確認する。神経内科専門医に紹介
凹足の矯正は日中は軟性装具、夜間はシューホーン型の短下肢装具。装具で足の良肢位がとれなくなったら、切腱術検討。
※股関節に亜脱臼を伴う臼蓋形成不全ある。股関節周囲の筋力低下も。骨盤部の求心性重要
※神経の易損性あり、術中の牽引で麻痺に注意。
・底屈しない
麻痺性踵足:二分脊椎が多い。MRI検査。脳神経外科紹介。装具(10歳未満はシューホーン、10歳以上は短下肢装具)、抵抗性なら手術。前脛骨筋の後方移動。
関節液増加:エコー、MRI。採血、関節液検査。
・関節水腫:JIA、反応性関節炎、HLA-B27関連関節炎
・膿性:化膿性関節炎
・関節血腫:血管腫、血友病→凝固系の検査。
・凹足・下垂足:Charcot Marie Tooth病、他に二分脊椎。腓骨神経麻痺、仙骨神経麻痺。
・尖足:下腿三頭筋拘縮。骨の成長に伴って成長しないため、成長につれ増悪する。
夜間(成長期間)に中間位を保つために、夜間のシューホーン型短下肢装具装着。
先天性内反足に伴う下腿三頭筋拘縮は二次的に拘縮しているので、夜間の装具の必要ない。Xp(底背屈側面像)で骨性の要因を評価
足部(Chopart関節・足関節の拘縮)、足関節(関節前方の骨性インピンジメント)の評価。
関節拘縮→受動術。骨性インピンジメント→切除。足関節拘縮→切腱。
足部の疼痛:圧痛点で評価。癒合症は安静で自然軽快を待つ。改善ないなら手術。
舟状骨背側:第1Kohler病。原因不明、舟状骨壊死。1,2年で治癒。局所減圧の足底板。
舟状骨内側縁:有痛性外脛骨症、後脛骨筋腱付着部炎
踵骨-舟状骨間(二分靱帯あたり):舟状骨癒合症
載距突起:距踵骨癒合症
中足骨頭:Freiberg病(第2Kohler病)。中足頭骨壊死。骨片遊離してれば切除。
前距腓靭帯:捻挫後遺症
距骨後方:Sever病。骨端症。Xpでアキレス腱付着部の骨硬化。予後良好。
距骨滑車の内外足部;離断性骨軟骨炎。基本安静、保存。遊離骨片は切除。
足底:足底腱膜炎。付着部炎関連関節炎の初期症状でないか注意。
MRIで骨髄浮腫:疲労骨折、化膿性骨髄炎、慢性再発性多発性骨髄炎、白血病、悪性リンパ腫
・腓骨筋腱・後脛骨筋腱脱臼:多くは自然軽快。外傷契機で疼痛持続なら手術。
※歩行評価
Gait equinus (尖足度0-4度)
0度:踵-足尖歩行:踵からついて、つま先で蹴って進む
1度:全接地歩行:足底がペタンと同時に全接地する
2度:足尖-踵歩行:足尖から荷重し、踵が少しつく
3度:足尖歩行:踵を常に浮かせ、足尖で接地して歩く
4度:尖凹足歩行:凹側を合併した高度尖足歩行。(荷重時足先は真下)
Heel(踵の内外反):5~10外反が正常。
FPA(foot progression angle):進行方向に対しての足先の向き
Knee(膝の向き):内向きか、外向き
Hep(歩隔):wide based
Crouching():横から見た膝の角度
膝:屈曲制限・伸展制限・腫脹・疼痛
屈曲制限
・先天性:先天性膝関節脱臼。全身性疾患の合併に注意。徒手整復し最大屈曲でギプス固定。Curtis分類。重度なら手術
・後天性:ほとんどが生理的な反張膝(back knee)。幼児は歩行時に大腿四頭筋を使わず、後十字靭帯などの支持機構を使う。麻痺がないなら筋の発達に伴い自然に改善する。
大腿四頭筋の機能不全からの代償的な反張膝でないかの確認が必要。
進行性の反張膝なら、大腿骨遠位・脛骨近位の骨端線前方の早期閉鎖。Xpで確認。骨性架橋あれば切除。
伸展制限:原因。新生児~乳児なら生理的膝伸展制限(膝伸展平均は-15~-10度)を考える
・軟部組織:膝窩翼状片症候群。膝窩にweb(水かき様の皮膚)あり。解離術。
・半月板:円板状半月板。深屈曲→伸展→深屈曲でクリック。MRIで確定診断。
・大腿四頭筋:膝蓋骨形成不全、大腿四頭筋機能不全、麻痺、拘縮を疑う。
・膝蓋骨:先天性膝蓋骨脱臼。触診で評価。膝蓋骨を触れて屈曲させて外側へ脱臼したら習慣性膝蓋骨脱臼。エコーなど。手術は解離・縫縮・筋移行
・関節内病変:膝蓋跳動、関節穿刺で評価。関節液が黄色透明なら若年性特発性関節炎、膿性なら感染、血性なら出血性関節症障害を疑う。採血ではRA、感染、凝固異常を評価。
・骨系統疾患・腫瘍:画像で評価。
屈曲制限:大腿四頭筋か関節か
・診断は難しい。Xpで骨性の評価を行い、MRIで大腿四頭筋(化膿性筋炎・筋内血種)、関節軟骨(片肢性骨端異形成症)を評価する。
学童期以降の膝の屈伸制限
鑑別は円板状半月板、習慣性膝蓋骨脱臼(いつも脱臼)、反復性膝蓋骨脱臼(外力で脱臼)<patellar apprehension test>
爪膝蓋骨症候群:爪の形成不全、骨盤の正面Xpで腸骨にiliac hornを認める。
大腿四頭筋拘縮:大腿への注射の既往。筋肉内に索状物を触れる。
脳性麻痺:下肢腱反射亢進。Popliteal angle(40度以上で拘縮あり)
骨端線早期閉鎖:Xpで変形認める。
何も見つからなかったら全身全部調べる。
膝の腫脹
骨性・軟部性or関節水腫
骨軟部:Xpで骨性隆起あれば腫瘍、外骨腫・骨肉腫など疑う。
軟部:膝蓋嚢胞(popliteal cyst)。滑液包内の液体貯留。数年の自然経過で治癒が多い。
膝窩部にゴルフボール大の硬性腫瘤→猫ひっかき病によるリンパ節腫脹。
膝蓋骨前面:膝蓋骨前滑液包炎。膝蓋骨近位部に限局していたらsuprapatellar cyst疑う。
膝の痛み
圧痛部位により、Osgood Schlatter病(脛骨粗面)、Sinding Larsen病(膝蓋腱の膝蓋骨付着部)、鵞足炎(脛骨近位内側)、腓骨筋腱付着無炎を診断。
二分膝蓋骨:Xpで評価。
半月板損傷:MRIで評価。
離断性骨軟骨炎:MRIで評価。
注意するのは白血病、慢性再発性多発性骨髄炎、プロテインC・S欠乏症、傍骨端線限局性骨髄浮腫など。