胸痛
・まずはABC+心電図、救急車で来たら+酸素、ルート
バイタル不安定(ショックであれば、ショック対応)
まず除外すべき5つ、VINDICATEのVとI
・Vascular:急性冠症候群(ACS)、大動脈解離、肺塞栓症
・Idiopathic:緊張性気胸、食道破裂
→心電図とV-SCAN<左室収縮能、壁運動異常、心嚢液、右室拡大、弁膜症>短時間
→胸写、血ガス、血液検査(凝固D-dimer含む、トロポニンT、CK-MB、、BNP、血糖も)
心筋虚血ありそうなら、すぐカテへ(カテのために右橈骨動脈、右鼠径動脈は温存する)
※心筋マーカーは6~8時間経過してないと感度低い
※リンパ球>4000, 血糖>200は心筋梗塞の特異度高そう
※準緊急→失神、冷汗、呼吸苦、動悸、嘔吐など

バイタル安定もしくは①ではっきりしない時
問診+診察
心臓由来っぽい     / 非心臓由来っぽい
Onset:徐々に増悪(crescendパターン)/ 突発(例外は大動脈解離、大血栓)
Position:胸骨下や左前胸部    / ピンポイント、狭い範囲
Quality:圧迫性           /  刺す痛み(胸膜炎、肺塞栓)、ピリピリ(帯状疱疹)
Quantity:治療経過の確認のため
Radiation:咽頭、顎、歯、肩、背中、腕に放散/ あまりない(例外で急性心膜炎)
Situation:(非心臓由来は多岐にわたるので別に)
増悪:労作時→労作性狭心症、肥大型心筋症、ASとか
寛解:飲水→心臓一般、前傾姿勢→心膜炎(仰臥位で増悪)
ニトログリセリンで軽快したとしても心筋虚血だったかどうかは微妙
Time:数秒→非心臓由来、2~10分→安定狭心症、10~30分→不安定狭心症、30分以上→心筋梗塞、非心臓由来
Association:冷汗(危険)→心臓由来、非心臓由来でも大動脈解離、肺塞栓、緊張性気胸

非心臓由来の増悪因子:労作で増悪しない
呼吸や咳:肺塞栓、気胸、胸膜炎など、心膜炎も
体動・咳で増悪、圧痛部位あり→筋骨格系
空腹時:十二指腸潰瘍、妊娠、逆流性食道炎  食後:胃潰瘍、胆石、膵炎
夜間仰臥位:逆流性食道炎
※胸膝位で軽快→膵炎、心膜炎
※同時にTIMIリスクスコア→3点以上で緊急カテ
65歳以上、既知の冠動脈狭窄(50%以上)、過去7日以上のアスピリン使用、24時間以内2回以上の狭心痛、心筋逸脱酵素上昇、SY変化>0.5mm、3つ以上の心血管系リスク(家族歴、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙歴)

循環器的身体所見
・頸静脈怒張:座位で怒張→右房圧>15cmH2O
・末梢浮腫:右心負荷大→肺塞栓でも心タンポも?
・血圧左右差:急性大動脈解離、閉塞性動脈硬化症など
・小脈、奇脈(吸気時に血圧10mmHg低下):心タンポナーデ
・皮下気腫:(緊張性)気胸、縦隔気腫(特発性食道破裂とか)
・呼吸性雑音:肺炎も
・心雑音:
・皮疹:水疱→帯状疱疹


心臓由来っぽい→循環器コンサルが無難
大事なのはカテが必要なのかどうか。→STEMIはカテ!
ヤバくなさそうでも、否定しきれない→経過観察入院という手もある。
ACS:急性冠症候群の3分類
・ST上昇型心筋梗塞(STEMI):冠動脈が完全閉塞して貫壁性梗塞起こしている。
ST上昇していないけどヤバい→後壁梗塞<V1-3のR波増高、ST低下、T波増高>で疑う→後壁誘導(V7-9)<V6の高さで背側に3個、V9は傍脊椎>
発症早期もST上昇は認めない。一番早期に上昇するマーカーはH-FABP(2~4時間以内)
これらは12時間以内に再灌流療法が必要

・非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)
 部分閉塞なのに心筋壊死して心内膜下梗塞に陥った状態。外に出てきてないだけで、心内膜下では梗塞している。(心内膜下梗塞、非貫通性梗塞)TIMIリスクスコアがここで効く
TIMIが低リスクなら、経過観察・後日再診。患者と話し合って経過観察入院するか?
TIMIが中・高リスクなら入院も考慮。経過観察入院とか。

・不安定狭心症(UA):プラーク破綻を基盤とした部分閉塞の虚血状態
 →虚血なだけで心筋マーカー(トロポニンT)は上昇しない。NSTEMIとの違いはそのくらい。だから、発症早期でトロポニンT陰性の時は違いがわからない。

・安定狭心症(SA):動脈硬化を基盤とした一過性の心筋虚血→NOスプレーで後日外来
  労作性狭心症
 冠攣縮性狭心症:早朝、喫煙、ストレス負荷、寒冷暴露時→疑いあり要注意

ACSの治療:基本一緒
疼痛コントロールとバイタル安定化が大事
MONAってより、NAMO
酸素吸入(SpO2:95%)、バイアスピリン(100)3T経口、ミオコールorニトロペン噴霧 3回(3~5分毎に)、疼痛が消失しなければ塩酸モルヒネ(10mg/1ml/1A)=5mg(0.5ml)血圧注意
・低血圧時(右室梗塞以外の時、右室梗塞なら生食250mlを1時間で)
ドブタミンを3μg/kg/min→体重50kg)3x50x60μg/hr=9mg/hr
ドブトレックス(100mg/5ml)+生食28ml→100mg/33ml≒3mg/ml
→3ml/hrで持続
その他、DOACとかβ遮断薬とかは循内コンサルトした後で
・重度AS、肥大型心筋症があったらNO禁忌なので、エコーで確認しとく

ST上昇は心外膜にまで障害が及んだ場合に上昇する。
心電図
右脚ブロック:QRS波が分裂。ウサギ耳
左脚ブロック:幅広な深いS波

左脚ブロックとST上昇
sgarbossaの基準:普通はQRS波とT波は極性が逆。極性が同じだと異常。他いろいろ
→STEMIに準じた治療が必要。

※右室梗塞:モルヒネ、NOが禁忌になるやっかいなやつ。下壁梗塞(Ⅱ,Ⅲ,aVf)に1/3合併
☆Ⅱ,Ⅲ,aVfのST上昇で下壁梗塞が疑われた場合、V4R, V5Rの右側誘導もとるように!

下壁梗塞では徐脈(モルヒネ禁忌)、右室梗塞合併(NO禁忌)、大動脈解離(クロピドグレル禁忌)に注意

・大動脈解離<無痛性、片麻痺意識障害など神経学的異常所見もある>
特定のための所見:突然、重篤、痛みの移動、神経学的異常(失神、左片麻痺)、急速な経過で左側胸水あり、胸部xpでのカルシウムサイン
否定のための所見:大動脈痛、縦隔/大動脈拡大、脈/血圧の左右差とD-dimer4つが陰性
どことなく様子がおかしいとかいう感じは大事らしい
→単純、造影、CTはどっちも撮る。偽腔内新鮮血腫を見逃さないため。
StanfordのA(上行)かB(下行)か。A→死ぬ→緊急手術考慮。B→良好→降圧、鎮静
降圧:ジルチアゼム(ヘルベッサー)150mg(3V)+NS 50ml→1ml/hで開始

肺塞栓症
Wells score:深部静脈血栓症の臨床症状(3点)、肺塞栓が他のD/Dと比べて濃厚(3点)、心拍数>100(1.5点)、過去4週以内の手術or3日以上の長期臥床(1.5点)、DVTorPEの既往(1.5点)、喀血(1点)、悪性疾患(1点)
→4点以下ならD-dimer測定して陽性なら造影CT。4点超えてても造影CT

・緊張性気胸
酸素と穿刺。
1次性の軽いやつ(胸壁から3cmくらい)なら経過観察
2次性もしくは大きいやつ→チューブ
・食道破裂
急性心外膜炎心タンポナーデ、急性胆嚢炎、急性膵炎