外傷:腰背部

外傷:腰背部

※圧迫骨折:胸腰椎
受傷機転
身体所見
下肢運動:、しびれ:、知覚低下:
疼痛
自発痛:
棘突起圧痛、腰椎後方筋群(PVM)圧痛、
脊柱叩打痛
Xp
(MRI)
治療:保存か手術か。
神経症状がなく、安定型の骨折なら保存<AO分類でtypeA=圧迫損傷、Denis分類で前方支柱のみの損傷など>。
骨折の形態確認にCT、MRI
⇒基本的に圧迫骨折なら具体的な骨折の状態評価、脊髄圧迫評価のためにMRIまで撮ってよさそう。
⇒CTに関しては、脊椎の後方成分の破裂に伴う脊髄損傷や、ASH(強直性脊椎増殖症)による脊柱管圧迫の評価、骨性成分の評価を特に行いたい場合に撮影することが多い。

精査で隠れた骨折(L5だけと思ったら、L1骨折も合併してたみたいなやつ)が見つかる

※破裂骨折でも保存療法例:椎体高の減少が50%未満、椎体形状変形が20%未満、脊柱管占拠率が50%未満の時は保存になりがち
※神経損傷:十分な神経学的診察と合併損傷の評価が必要とのことだが、膀胱直腸障害はいいけど肛門周囲の感覚はどれだけやる?全例はやらないとして、下肢の症状がある場合に追加?
全脊椎Xpは少なくとも全部の症例でやった方が良い?
⇒こっちは胸腰椎移行部まででよさそう

上体を起こさないことが大事。安静⇒寝たきりでいることが治療。座位であっても頭尾側に圧迫がかかり骨折がひどくなり、慢性的な腰痛になることを伝える。
最低1週間はベッド上で仰臥位で安静。その後からコルセット着用してリハビリ開始。コルセットは3ヶ月間つけて生活。定期的にXp撮影して潰れてこないか確認。
数ヶ月保存療法しても、症状改善しない場合には偽関節疑いでMRI撮影。

☆コルセット選択
胸腰椎移行部やL1などの上位胸椎⇒Long、胸骨剣状突起の高さまでのものを作成
L4,5などの低位腰椎⇒short、肋骨にかかる程度の高さのものを作成

流れ:(日常的に足の動き、知覚異常には注意していく)
最初の1週間:軟性コルセットの採型・完成。その間は(原則)絶対安静。屈曲・伸展だけでなく回旋運動も避ける。程度が軽ければ30度程度のギャッジアップは可能みたい。Xp撮影してコルセットつける。

1~2週:修復期の開始。コルセットをつけて離床・リハビリ開始。ここで大事なのは背中を真直ぐに保つこと。屈曲・伸展・回旋を避けるようにリハビリ・日常生活を送ること
1~2ヶ月:初期癒合。疼痛軽度ならコルセットをはずしてリハビリ開始する時期。日常的にはコルセット装着。Xpで骨折線が見えにくくなる。
2~3ヶ月:骨癒合、リモデリンの時期。Xpで骨折線が徐々に消えていく。骨癒合が明らかになればコルセットは外せる。コルセットを外す時にXpで屈曲・伸展位の側面像で脊椎不安定性を確認。問題なければ自動での屈曲・伸展・回旋運動可。他動は避ける。
3~4ヶ月:安定のリモデリング期。Xp側面像の屈曲・伸展位での脊柱不安定性、偽関節の有無を確認。神経症状の出現ないか改めて確認。もうだいたいこの辺でコルセットは外す。
この時になっても疼痛残存してる場合がある。神経学的異常では下垂足とか。その場合には鎮痛薬や装具の使用が必要となりうる。難治性なら手術も検討。

外傷:股関節部

外傷:股関節部<この辺は1つの骨折に2つ目、3つ目が隠れているから、診察は広く行う>
・骨盤骨折、股関節脱臼、大腿骨近位部骨折(頸部骨折、転子部骨折)、大腿骨骨幹部骨折
どれも、まずはバイタルの確認。AMPLE(アレルギー、内服薬、既往歴、最終食事、受傷時の状況)の聴取。高エネルギー外傷ならprimary survey から。歩けるか、頭打ってないかも確認。

①骨盤骨折<骨盤輪の破綻で内腸骨動脈、上殿動脈、閉鎖動脈の損傷で大出血をきたす>
→緊急性(受傷機転とXpから骨折の分類)を把握して、初期対応の後3救急の病院へ転院できるように。どっちにしても一泊入院くらいはしておいた方が無難かも
☆事故後の骨盤部の両側圧迫による不安定性の確認は現在では危ないので禁忌!
機転:交通事故など高エネルギー外傷、高齢者の転倒、高所からの墜落
視診:ほとんど動けないor足を引きずって(跛行)歩く(軽微な骨折の場合)。骨盤の変形、会陰部の皮下出血、陰嚢・陰茎の腫大。
問診:どこが痛いか明確に指摘できない。
触診:恥骨・坐骨・腸骨を触診して圧痛確認。循環・運動・感覚神経。
検査:Xp。他には採血(貧血と腎機能、造影CTのため)、造影CT、尿路造影など
骨盤正面Xp(状態が安定しているなら、骨盤入口、出口の2方向追加、寛骨臼疑いなら両斜位を追加)。大事なのは見方。AO/OTA分類。骨盤輪骨折(Bleed to die)と寛骨臼骨折(Limp to die)を見逃さないために大事。
⓪腰椎の棘突起と両脇の椎弓根が左右対称、等距離にあることを確認→読影に値するか
・骨盤前方成分
①恥骨結合離解の有無→2.5cm以上の離解は骨盤後方靭帯損傷→後方不安定性→固定。
②恥坐骨骨折の有無
③臼蓋前後縁+大腿頸部骨折の有無→寛骨臼骨折は正しい固定でないと歩行不可で死ぬ。
・骨盤後方成分
④腸骨の大きさの左右差と内骨盤輪の骨折線の有無→後方の損傷→動脈損傷で出血死
仙腸関節離解の有無:幅・高さも。4mm以上開大は異常。垂直方向の剪断骨折も確認
仙骨骨折の有無と腰椎横突起骨折の有無:左右仙骨孔の比較(神経?)、第5腰椎横突起骨折=腸腰靭帯断裂と同義、完全不安定型を示唆する。

☆特に骨靭帯の不安定を示唆する所見:第5腰椎横突起骨折、仙骨骨折、骨盤輪後方の1cm以上の転位、徒手的不安定性(?)、2.5cm以上の恥骨結合離解。

鑑別:骨盤後方要素の骨折は基本入院。
・腸骨とか恥坐骨のみの骨折(A型)→予後良好。固定は不要。ただし、抗血小板薬内服中のものは出血止まりにくいので、CT(造影)での精査は必須。
・open book型(前後方向の外力)で恥骨結合離解(2.5cm)骨盤開大→後方成分の不安定性→出血リスクが高くなる→予防に固定(シーツラッピングやpelvic binder)
・lateral compression(側方からの外力、半分以上がこれで最多の頻度)小骨盤腔の容積が小さくなるので、大出血のリスクは低いけど、仙骨孔の仙骨神経叢あたりの神経損傷(外寛骨筋・大腿屈筋・下腿及び足の全ての筋・会陰筋)の合併リスクは怖い。
・vertical shear(垂直剪断、C型)高所からの墜落とかで。後方成分の破綻による出血。こっちも固定。

合併症(説明):出血死と神経損傷
輸液と骨盤ベルト:open book型と剪断(vertical shear、これは場合による )
固定は原則、大転子に行うこと。骨盤ベルト(骨盤固定整復装具、サムスリングⅡ)か、シーツラッピング:4つ折りの細長いシーツを下にしいて、大転子部を絞めて、張力を保ったままクロス。クロスした後の奴らを鉗子で固定。足が外旋していたら、整復して正面向かせる

治療:初期対応。骨盤骨折があると判断した時点で全身管理のできる専門の救急医を呼ぶ。ルート2本確保。(バイタル崩れてたら初期輸液、乳酸加リンゲルを全開で1-2L投与)。低体温、凝固異常、アシドーシスにも注意。初期輸液に反応しない場合は緊急でTAEかガーゼパッキング。そこまでヤバそうなら骨盤固定して、輸液、採血の3点施行して3次救急の所に転送するのが良さそう。
安定型なら入院でベッド上安静。不安定性が強ければ2週間以内に内固定と解剖学的整復。間に外固定やったり出血が止まらなければTEAやガーゼパッキング。
※骨盤からの出血がそんなでもなくても別の出血部からのショックも十分ありうるので他の部分の骨折がないかは十分注意。

②股関節脱臼<受傷時の肢位。坐骨神経損傷の確認>
機転:車運転していて事故→ダッシュボードに膝をぶつけて後方脱臼。高エネ外傷なら最初にパパッと胸部xp、両股正面撮影して、骨盤の破綻が無いか確認する。
視診:足の短縮、(後方脱臼なら)股関節屈曲、内転、内旋。
疼痛・腫脹・変形も確認。
問診:受傷時
 屈曲・内転=内股→純粋な股関節後方脱臼。
 屈曲・外転→寛骨臼骨折や骨頭骨折を伴う。
 屈曲・外転・外旋=ガリ股→伸展方向に前方脱臼(?)
(触)診察:坐骨神経の神経損傷の確認→足関節の底背屈。知覚(大腿神経・坐骨神経)と末梢循環(大腿動脈損傷)、毛細血管再充満時間も。
検査:両股関節xp+患肢ラウエン(疼痛で動かせない時は無理に撮らない。脱臼で内転位にある股関節脱臼では外転させるラウエンは非常に痛い。)
鑑別:股関節骨折<xpで診断>
合併症(説明):大腿骨頭壊死→脱臼後に起こる合併症で、整復の有無に関わらず起こりうる。必ず、整復操作によって起こるわけでないことを説明する。坐骨神経損傷の可能性も説明する。
治療:緊急の整復が必要(時間経過で大腿骨頭壊死・坐骨神経麻痺)
十分な麻酔(腰椎穿刺や静脈麻酔など)施行後行う。呼吸抑制起きたら全麻に移行できるようにあらかじめ準備しておく。
Allis法:一般的。二人。骨盤を押さえて、下腿を抱えて、軸方向に引っ張りながら徐々に屈曲させていく。で、内旋を加えて整復。愛護的に。
あと、整復はその場か、透視下か、手術室で行う。個々の症例によりけり。
☆整復後の確認のxpも忘れず撮影。CTも撮影すると関節内外の骨片の有無や大きさ、骨頭骨折の合併損傷を評価できる。
→CTで関節内骨折がなかったら、整復後に牽引不要。関節内骨折があったら、介達牽引をして関節の安静化を図る。
どちらにしても入院が必要な症例。

徒手整復ができなかった場合には、速やかに観血的整復術を行う必要がある。
→少ない経験で無理をすると医原性の骨折起こしてグダグダになるので、無理せず上級医に相談する。

③大腿骨近位部骨折(頸部骨折、転子部骨折)
機転:転倒→歩けなくなって救急車。転倒→数日経って歩けなくなって救急車(受傷を覚えてない)。若年者の高エネルギー外傷(他部位の骨折も)
視診:歩容。だいたい、ストレッチャーで臥床。外旋位。腫脹大→関節外<転子部?>、

問診:受傷機転。転倒した原因を確認。内因性疾患が隠れていないか(心筋梗塞や意識消失発作、BZ系の薬剤など)も調べる。
→自発的な運動は可能か。

診察(触診):脈拍<両側の内果動脈、足背動脈>、末梢神経障害<知覚、痛覚、指の動き>、圧痛点(スカルパ三角)、叩打痛(大転子)、股関節の外旋(他動的に軽度、愛護的に)

検査:Xp<両股関節正面と側面像、ラウエンは疼痛強くなって患者負担大きいから基本撮影しない>
→Xpで異常見つからない(5%くらい?)、でも歩けない→MRIやCTで評価。
※XPではまず、小転子が左右均等に見えることを確認(読影に値するxp)。骨折してると、大腿骨頭と頸部の鋭角のくびれと、骨髄質の重なりによる帯状の濃度上昇(白)を認める。
→骨折なら入院→近日中に手術→入院時検査(一般的な検査の他m輸血用採血、感染症スクリーニングも)、抗凝固薬の内服あたりも確認して輸血同意書もとる。発見が遅れて脱水・感染おこしてる場合はそっちの対応も並行して行う。
骨盤部骨折→大量出血のケースもあるので、両股正面では骨盤、恥骨あたりも評価。

鑑別:骨盤骨折(xpで恥骨、坐骨確認)、大腿骨転子部剥離骨折(歩行可能、xpで中殿筋に付着した転子部が上方に牽引されている)、化膿性股関節炎(全身状態不良、採血、歩行不能、診断できたらすぐに対応、関節洗浄術とか)、大腿骨頭壊死(アルコール、ステロイド)

説明:頸部骨折そのものに、大腿骨頭壊死のリスクが付きまとうこと(壊死した場合には医原性、いじったから壊死したわけじゃないよってことを伝えなければならない。)あとは、安静にしてると肺炎とか廃用の合併症が起きるから、早期手術で活動性を戻すのが大事。 
血栓塞栓のリスクも説明する。
その他合併症:LSC(Late segmental collapse)遅発性の骨頭圧潰、特に転位型の骨折では、骨頭壊死と同様リスクが高い。 

治療:
大腿骨頸部骨折
Garden分類のstageⅠ、Ⅱの非転位型はスクリューによる骨接合術(キャニュレテッドスクリュー、スライディングヒップスクリューなど)。
StageⅢ、Ⅳは骨接合か人工骨頭置換術か、年齢・活動性・全身状態によって決める。ただ、一般的に高齢者(70歳以上)には人工骨頭置換術が多い。若年者はⅢ、Ⅳでも骨接合術を試みる(整復できるかトライ)
手術までは痛みのない範囲で状態を起こしてもかまわない。鎮痛はしっかり。
→ベッド上安静、Gapは30°まで可。絶飲食、補液、排泄はベッド上、必要ならバルーン挿入
Garden分類
StageⅠ:
StageⅡ:
StageⅢ:
StageⅣ:


転子部骨折
骨接合術(血豊富のため骨癒合良好)だけど、整復が結構難しいので大変。分類はEvans分類(小転子→大転子の骨折はtype1、小転子→遠位外側をtype2として、type1を転位と整復で4つにGroup分けする。)使うのはCHS(compression hip screw)が多い?他にはshort femoral nail(ガンマネイル)も推奨されてる。
転位のない大転子部のみの骨折では保存的治療が推奨。
※ちなみに関節包内外にまたがる頸基部骨折は頸部と転子部骨折の中間で、安定性低い。この時もCHS(compression  hip screw)でガッチリ固定。


※牽引(鋼線牽引、介達牽引)は骨折部の除痛のみを目的としたものであり、整復を目的としているわけではない。→疼痛が自制内ならば、牽引はしない傾向にある。

CHSによる手術手技(ザックリ)はカラー写真でみるやつのp115

④大腿骨骨幹部骨折:硬い皮質骨。折れるのは高エネルギー。骨幹部への腫瘍転移もある
周囲の筋肉の力は強くて、徒手整復は基本ムリ(小児は可)なので手術適応。
機転:交通事故や転落などの高エネルギー外傷。まれに虐待。
視診:歩行不能。患肢短縮、大腿部腫脹、強度疼痛。開放創(軟部組織損傷)の有無の確認も。わかりにくい場合は膝蓋骨の位置(外旋による転位)も確認する。頸部骨折も合併しがちなので、そっちも診察も同様に行う。
問診:非定型大腿骨骨幹部骨折の鑑別にビスフォスフォネートの内服歴。
触診:基本の神経、循環(足背動脈、後脛骨動脈、膝窩動脈)の確認。
検査:大腿骨のXp、正側面の2方向、健側も?その他高エネルギー外傷なら、骨盤部と両膝の2方向xpも。
☆Winquist-Hansen分類:第3骨片で分類。Ⅰ:小さな第3骨片、Ⅱ:皮質骨の50%未満の第3骨片、Ⅲ:回旋、短縮起こしそうな第3骨片、Ⅳ:バラバラ
☆AO分類:A(単純骨折)、B(楔状骨折)、C(複合骨折)と1(らせん)、2(斜、屈曲、分節)、(横or粉砕)で分類。
鑑別:大腿骨の上下の関節の骨折も確認。骨幹部骨折の5%弱に頸部骨折も合併らしい。見逃されがち。
合併症(説明):大量出血(骨幹部単体の骨折でも500~1000mlとか)、神経損傷、コンパートメント症候群、骨折→脂肪滴→脂肪塞栓症、呼吸窮迫症候群<脳、肺。受傷後2,3日に意識障害や酸素化低下、発熱、点状出血も→Xpで吹雪様陰影?>。
大腿骨頸部骨折も。この辺はまとめて一緒に診察する。
治療:手術、閉鎖性髄内釘横止め法がgold standard。大転子頂部から刺入。
ポイント;髄内釘より髄腔を1~1.5mm程over-reaminngする。髄内釘は10-12mmが多い。
術後は50%以上の皮質骨の接触があれば、術直後より全荷重が可能。ここは損傷の程度によりそう。
☆頸部骨折も合併していた場合は髄内釘の近位前方にscew()を刺入し頸部を固定する。もしくは、骨幹部は逆行性(大腿骨遠位から刺入)の髄内釘、頸部はsliding hip screwで固定の方法。
開放創なら創外固定からの二期的な治療へ。
術前、待機する時の直達牽引(キルシュナー鋼線)は大腿骨遠位か脛骨近位か?
(小児で転位がない場合のみ保存的治療→3歳以下でBryant牽引、3~10歳でRussell牽引、どっちも関節的に牽引)

※大腿部遠位端骨折:大腿骨の遠位側。骨幹部だけど、末梢骨片が後方に転位して神経・血管損傷を起こしうる。歩行不能で大腿骨遠位に疼痛・腫脹・発赤があったら疑う。治療は転位が少なければギプス?入院して牽引して手術。プレート使うことが多い?逆行性ネイルもあり?
※大腿部顆上骨折(Hoffa骨折=冠状断骨折):関節内骨折。見逃しやすい。正側2方向+斜位2方向、大腿骨2方向。関節面の評価にCT、半月板、靭帯損傷の評価にMRI

外傷:下肢

外傷:下肢

膝周囲の外傷・骨折
→大腿骨遠位部骨折、膝蓋骨骨折、脛骨高原骨折
外傷で膝のXpを撮影するかの基準
オタワknee rule
①    55歳以上
②    腓骨頭の圧痛
③    膝蓋骨単独の圧痛
④    90°屈曲できない
⑤    荷重できない

膝周囲の受傷・骨折部位の特定
触診:大腿骨内顆、大腿骨外顆、膝蓋骨、脛骨関節面内側、脛骨関節面外側
※骨折していたら全体的な腫脹・弱い圧痛があるが、特別に強い圧痛点を特定することが大事。

Xp:膝関節正・側面2方向。(膝蓋骨圧痛あれば軸写も)
CT:X線ではっきりしない場合、治療方針決定目的。撮った方が良さそう。
MRI:半月板・靭帯の軟部組織評価メイン。骨折においては脛骨高原骨折の際の(逆側の)側副靭帯損傷の評価に使う。

治療方針
大腿骨遠位部骨折:基本手術。ずれがない骨折や粉砕が強く固定できなさそうな場合は保存治療が選択されることもある。
膝蓋骨骨折:縦骨折→保存。横骨折→手術
脛骨高原骨折


膝蓋骨骨折
オタワknee ruleの所見確認。
保存か手術か

0~1週:炎症期。
1~2週:修復期開始。骨折線あり。
1~2月:修復期。Xpで骨折線が徐々に消えてくる
2~3月:安定期。リモデリング期。Xpで骨折線の消失。

☆☆Xpで2mm以上の関節面の段差、3mm以上の骨片転位がないかには常に注意しておく。治療早期でも転位が起こったら、不安定骨折として観血的整復固定術の適応となる。

 


足関節果部骨折
語彙:Supination=回外(底屈+内旋+内返し)、Pronation=回内(背屈+外旋+外返し)、Adduction=内転、Abduction=外転、external rotation=外旋

機転:受傷機転

問診
視診:歩行困難、足関節部の腫脹、強い圧痛
触診:内果・外果の骨に強い圧痛、
鑑別:メゾヌーブ骨折(腓骨高位骨折と内果骨折、腓骨近位の触診で確認)
Xp:足関節正・側・両斜位。内果・外果・後果を確認。内果の開きで不安定性評価。
CT:複雑な骨折の場合、精査目的に追加
治療
骨折がはっきりしない:膝下~足部のシーネ固定+RICEの徹底。
開放骨折、脱臼あり:緊急手術(可能な病院への転送)
内果単独or外果単独で骨折部にずれがない:ギプス固定(全5,6週。3,4週から荷重)
他:手術。ただし、時間経過で腫脹が強くなり水疱形成するような場合には手術延期
<皮膚の状態をこまめにチェック>。手術は整復・プレート固定
術後は簡単な固定(シーネ)して、2週以降より荷重開始。
☆外果単独骨折ならかなり早期でも大丈夫そう。
プレート抜去は術後1年目安。

合併症(説明):足首の関節で骨折している。ずれがなければギプスを1カ月半程度装着して治療。手術はしてもしなくても治療に4カ月はかかる。しかし小さな関節のためわずかなずれでも大きな悪影響を及ぼす可能性がある。そのため手術で直すことが多い。
安静・固定・冷やして挙上が必要。腫れが強くなると水疱ができたりして手術を延期する必要性がでてくる。

 

 

足関節捻挫
受傷機転
・自立可能か、歩行可能か。荷重をかけられるか、荷重をかけた歩行は可能か
視診:疼痛、腫脹の部位。皮下出血
触診:圧痛点<前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯>
前方引き出しテスト、内反ストレステスト
Xp:足関節正・側2方向<外果自体に痛みがある場合に骨折疑いで斜位2方向を追加>
CT:症状が遷延する場合に施行

鑑別:骨軟骨損傷、足関節骨折、第5中足骨基部骨折、外脛骨、リスフラン損傷

治療
疼痛なし、圧痛なし→経過観察のみ
歩行可能、圧痛あり→装具(サポーター)と湿布
☆歩行困難、腫脹強度→シーネ固定(疼痛に応じて荷重)
→安静、1,2週間後に再診し再度評価。疼痛・腫脹が改善し歩行時荷重での疼痛消失していれば装具(サポーター)固定に変更、1カ月装着。疼痛継続時はギプス継続+MRI精査

合併症(説明):痛めた靭帯はそのまま動かし続けるとしっかり治らず慢性的な痛みとなる化膿性がある。固定・安静大事。期間は1カ月程度。骨へのダメージが強い場合は精査必要


踵骨骨折
受傷機転:高所から転落
視診:踵部分の疼痛・腫脹
触診:
Xp:踵骨側面像、アントンセン像、軸写像
読影:側面像でベーラー角の減少、軸射像で踵骨横径の増大(載距突起も確認)、アントンセン像で後距踵関節を確認(関節面の骨折があると後距踵関節が見えなくなる)
CT:基本撮影する。3方向
分類
舌状型:距踵関節部の不適合性と踵骨全体が破壊され、つぶされたように見える
関節陥没型:

初期対応:シーネ固定で足関節を中間位か軽度底屈位で固定+RICE→まったくずれがなければギプス固定にして5~8週間固定(膝下~足まで)

徒手整復法→大本法:下腿を上方に強く牽引しながら骨折部を素早く内外反させる。

☆手術適応(一例):後距踵関節の不整、関節面の陥没、後方骨片がアキレス腱によって引っ張られ、後上方へ転位する骨片を認める場合
→ピン固定

※距骨骨折だった場合には血流が非常に悪い骨折であり、関節面に骨壊死を起こす可能性があることは説明するべき。

カルテに

カルテにコピペ

【主訴】
【現病歴】
【内服】
【生活歴】ADL:、飲酒/日、喫煙本/日
【アレルギー】
【家族歴】


※圧迫骨折
受傷機転
身体所見:
下肢運動:、しびれ:、知覚低下:
疼痛
自発痛:
棘突起圧痛、腰椎後方筋群(PVM)圧痛、
脊柱叩打痛
Xp:腰椎正・側2方向
(MRI)


※大腿骨頸部骨折
受傷機転
身体所見
右・左スカルパ三角圧痛
自動運動の可否
足背動脈、後脛骨動脈
知覚低下
Xp:両股関節正面、患側軸位。入院なら胸写もついでにとる。
※受傷機転によっては(しりもちなど)腰椎の正・側も撮影。疼痛の場所に応じて追加(脛骨、大腿骨、下腿全長など)

※足関節果部骨折
【現病歴】
病歴、受傷機転
歩容形態。自立、装具も
【既往歴】:特に足
【運動歴】:
【内服薬】
【身体所見】
GCS:E4V5M6, JCS:0orⅠ-1
Vital:stable
腫脹:
自発痛:
圧痛:
知覚低下:
動脈触知:足背動脈(+)/(+)、後脛骨動脈(+)/(+)
CRT<2sec
運動:底背屈
水疱形成(-)、膝、股関節の疼痛も確認。
(捻挫疑いならThompson把握テストも)
検査
Xp:正側2方向(足関節捻挫ならストレス撮影も)
骨折は外果、内果、後果、腓骨、
CT:
Step off:骨折で平坦な関節面が段差ができて、その段差の長さ。2mm以内なら整復はそこまでしなくてもよい。


※橈骨遠位端骨折
受傷機転
視診:Colles骨折(手と指でコ)手が上。Smith骨折(手と腕肘でS)手が下。肉眼的変形。
見た目で分からない軽度のものは圧痛確認。画像
圧痛部位、知覚、血流評価
Xp:患側は正・側・両斜位の4,健側は正側2方向。
整復:麻酔大事。骨折部局所麻酔、腋窩神経ブロック、(静脈麻酔)。麻酔は整復前には必ずする。
Colles骨折:肘屈曲、前腕回内。両手で手を持って、両母指を骨片の背側に。手関節部を遠位方向に引きながら手関節を掌屈尺屈させて、同時に両母指で骨片を押し込んで整復。
その後固定。肢位は肘屈曲、前腕中間、手関節中間~軽度背屈位。上腕~手で2週間ギプス固定:腫脹あるなら(だいたいありそう)、シーネ固定。⇒プレート固定⇒再度シーネ⇒抜糸(10~14日)⇒リストサポーター装着
※2週以上経過したら皮膚の線維化起こって、抜糸の痕が穴になる。

 

 

 

 

 

※腰痛
病歴
期間:急性(~4週間)、亜急性(~12週)、慢性(12週~)
問診
Red flag
発症年齢が20才以下か55歳以上
体重減少
時間や活動性に関係ない腰痛
広範囲に及ぶ神経症状、膀胱直腸障害
胸部痛
脊椎変形
癌・ステロイドHIV感染の既往
発熱
栄養不良

その他
間欠跛行:歩行可能時間、
増悪寛解因子
前屈みになると歩ける、立っているときつい、自転車は楽にこげる<神経性>
立ち止まると楽になる、自転車もつらい<血管性>

身体所見
自発痛:棘突起、腰椎後方筋群(PVM)、
圧痛:棘突起、腰椎後方筋群(PVM)
下肢運動:
MMT
しびれ:
知覚低下:
反射:PTR(膝蓋腱反射)、ATR(アキレス腱反射)
SLRT
FNST

検査
血液検査
Hb, Ca, 腎機能←胸部・四肢痛あり→多発性骨髄腫疑い
炎症反応、(腫瘍マーカー)←棘突起叩打でびくっとなる、体動で変化しない持続的な疼痛→腫瘍、炎症→腰椎MRI
前立腺癌→PSA
肺がん→CEA, SCC, CA19-9, NSE, CYFRA, ProGRP
乳癌→CEA, CA12-5

腰椎Xp:正側2方向、圧迫骨折疑うなら座位追加、ヘルニア疑うなら前後屈追加

造影CT←背部の移動痛、腹痛、冷や汗をかくような強い痛み(大動脈解離)

治療
カロナール(高齢者、腎機能低下で)
NSAIDs(ロキソニンムコスタ(レバミピド))
運動療法:ぎっくり腰運動や、起き上がり方の説明
ブロック…(硬膜外ブロック、神経根ブロック、仙骨硬膜外ブロック、トリガーブロック)

年齢
・20~40代→腰椎椎間板ヘルニア。腰痛・下肢痛(坐骨神経痛)。SLR/FNSTテスト。咳やくしゃみで響くような症状のDejerine sign。検査はMRIが最も有効。次いでCT。
治療は基本保存治療<NSAIDs、トラムセット、リリカなど>。膀胱直腸障害→手術。
「症状の進行で筋力低下や尿・便が出づらくなったりするので要チェック。その時手術」
 鑑別に仙腸関節障害もある→仙腸関節に一致した圧痛。保存治療。

・30~50代→頸椎椎間板ヘルニア。頸部から背部・上肢に放散痛(神経根症状)。四肢の痙性麻痺(脊髄症状)。神経根障害例にJacksonテスト、Spurlingテスト。

・中高年→腰部脊柱管狭窄症。馬尾性間欠性跛行(前かがみで軽快)。進行例では膀胱直腸障害あり。ASOとの鑑別が重要。

・中高年→頸椎性脊髄症(頚髄症)。徐々に進行する四肢の痙性麻痺。初期は四肢のしびれ感、巧緻運動障害(はし)、痙性歩行(階段歩行困難)

・中高年(女性)→腰椎変性すべり症。腰部脊柱管狭窄症の原因になる。分離すべり症もあるけど、こっちは分離症の症状(神経根症状の下肢痛), Xp側面像でのすべり。

・閉経後女性→骨粗鬆性椎体骨折。胸腰椎移行部に多い。どこでも骨折起こしうる。

AO法

AO法:固定大事、でも血流、軟部組織などの生物学的特性はもっと大事。骨は生き物。
・安定
・プレート
・骨折の分類:3x3で分類、ABCは基本一緒だけど、上腕・大腿骨近位・果部は例外
①どの骨
②骨折の部位(骨幹部、骨端部など)
③型:長管骨:1.近位部、2.骨幹部、3.遠位部 x A.関節外、B.部分関節内、C.関節内
③a:骨片同士の接触(あれば楔状、なければ複雑)
④群:A:螺旋、斜、横。B:螺旋、屈曲、多骨片。C:螺旋、分節、不規則
⑤予後と治療法関連で大事なこと

・創の分類
・軟部組織損傷:特にコンパートメント症候群の診断、評価
・解放骨折
・損傷:AOの分類で?IC、IO?
・骨折の特徴:
患者側の要因:DM、肝腎疾患、内服薬、全身状態、精神、職業
☆軟部組織:皮膚、皮下脂肪、筋腱、神経、血管→損傷の評価・機序の把握は超大事
骨折自体:多発外傷。閉鎖性、脱臼他

骨幹部骨折:長さと軸と回旋の整復が大事。骨片はあと
診察:転位があれば視診のみで大丈夫。触診は骨折が明らかでない場合のみ。関節可動域なんてもってのほか。診察で重要なことは動脈や神経の損傷の有無の検索。つまり、末梢動脈の触知<他に毛細血管再充満、色調、皮膚温、ABI、モニタードプラー>と知覚<神経学的検査も可能なら>の確認。

ダメージコントロール整形外科:多発外傷→大腿骨骨幹部も骨折→初期で創外固定

CPM(Continuous Passive Motion)関節内骨折では
→関節拘縮の予防、関節軟骨の全層の欠損の修復もできる。
逆に長期間の外固定では関節拘縮と関節軟骨の変性が起こる。
→栄養供給の不足と破壊的なパンヌスの形成と考えられる。
→適度な運動で変形性関節症は予防できる?
☆関節内骨折では整復と強固な固定と早期ROM(関節可動域訓練)(CPMでも)が大事。
関節軟骨は栄養が関節液から。で、ROMによってさらに誘導されて、線維軟骨として修復される。

関節内骨折の治療時期
理想は損傷直後:血腫もすぐに除去できて、整復と固定で止血も可。腫脹も改善期待
実際は、関節周囲の軟部組織に腫脹や擦過傷やデグロービングなどの外傷が認められた場合は受傷数日間は観血的な手術は禁忌←ここ大事!
→特に複雑な骨折は数日間は創外固定や牽引。<手術予定部位の皮膚に皮膚溝や皺が戻ってきたら手術しても安全>

時期的なあれこれ
多発外傷では受賞後2,3日は待機手術は禁忌。5-10日は一番良い。その後免疫反応が起きるのでしばらく禁忌。2期的な手術が可能になるのは3週頃。
※開放性関節内骨折の場合は例外。デブリ、洗浄、再建、主要関節内骨片を固定して閉創。創外固定器で関節橋固定。軟骨のついた骨片は温存

バラけた微小骨片は全部をきっちり内固定した場合には安定性は改善するけど、骨片の血行が途絶して、生物学的特性は偽性になる。ほどほどに
靭帯の評価も忘れずにする。

術前計画:骨折型、固定手技、侵入経路
計画を立てることに失敗するということは、失敗への道を計画しているということ。

健側のxpは裏返して鏡像をテンプレートとして使用し、その上で骨折を整復する。倍率に注意

作図。3段階
①健側を鏡面像で書く
②骨折側はバラけた状態にさせてかく
③健側のモデルに骨折側の骨片を重ねて、骨折線を書き入れて、修復のイメージにする

方針
絶対的安静か相対的安静か。進入路。固定手技。軟部組織の侵襲を最低限に抑えるための進入路と固定手技の組み合わせ。
スクリューを入れる順番も書き入れると有用。

記載は必要物品→準備→整復→仮固定→最終固定→創閉鎖と後療法
思考は最終固定→仮固定→侵入経路→創閉鎖→リハビリみたいな感じ
まずは最終固定法から考える。

整復:biabilityはstabilityよりも重要
キシロカインでの鎮痛も
チャイニーズフィンガーってやつは便利かも

手術
血行:皮膚の血行は軟部組織からくる。→ハイリスク部位での切開は垂直に切り込む
皮膚を鉗子で把持することは避ける。必要なら、鉗子の歯にかけて、縁を持ち上げる。

創閉鎖:微小循環超大事。電メスほどほどに(回数数えたい)。ピンセットの使用は最小限。下腿と前腕の筋膜の閉鎖は基本しない(コンパートメント症候群)
Allgower-Donati縫合はいいかも。深く入れて対側にやって、真皮の浅いところに持って行ってまた元の所に出す。血行が乏しそうなところに。

骨癒合の考え方
間接的骨癒合≒相対的安定性(仮骨形成による)炎症、修復、再造形で形成される。
直接的骨癒合≒絶対的安定性(骨同士の直接的な癒合)、時間かかる。元の骨。

絶対的安定<ロッキングスクリューの働き、整復と圧着>関節内骨折、単骨片、前腕に
ラグスクリュー:従来型。普通のネジ。締め付けて、垂直・軸の両方向にコンプレッションかける。プレートが骨を圧迫する。
ロッキングスクリュー:軸方向の力は僅か。垂直方向にコンプレッション。プレートは浮いている。スクリューとプレートをロックするという意味。
コンプレッションはそんなにMaxでやらなくてよい。生体内でのゆるみがあるとすれば、ネジ山と骨との間の微細な動きが原因らしい(p164)。過度の力が加わるとスクリューと骨との間の界面を破壊して全体の安定性が低下しかねない。

☆スクリューだけでなく、プレートも大事
Protection Plate:ラグスクリュー(だけ)を一方向から挿入して圧着。これだけでは回転してからズレが生じる→プレートをロッキングスクリューで固定(保護するだけ)
Compression Plate:圧着したいとこだけラグスクリュー、他の部分でロッキング使用。やりやすそう。
 
ダイナミックコンプレッション:ネジ穴の入り口が右下に傾いており、ネジを挿入していくと、ネジは右に、プレートは左にずれる。プレートが左に移動することによって、右側にある折れた骨(あらかじめねじ止めしてある)を左に引き寄せることができる。25度くらいの傾きも許容できるので、斜骨折にも使える。p170参照
基本的には横骨折に使用するものと考えるてよい?
ロックスクリューの後にラグスクリュー(従来型)は入れられない。はじめにラグ、ロックは後から。骨質が不良な場合は2つを併用するため。

設置前にプレートを曲げるのは→圧迫、張力を強めるにつれ、プレートが少し延びていい感じに戻ってくれる。

プレートの設置で:テンションバンドの観点。骨折した骨は偏心性に荷重されていること。プレートは伸長(凸)側。張力に耐えられる。対側皮質骨が圧迫に耐えれられる。 p181
Osnowのvol.3の膝のテンションバンドのところ。


相対的安定<複雑骨折、多骨片>
実際、多骨片である方が、骨癒合には有利。中間骨片がいい具合に緩衝材になって、極端な歪みにならないためらしい。
適応は関節外骨折と多骨片骨折
ここで使用するのが架橋プレート(他に随内釘、創外固定、牽引、ギプス)
☆架橋プレート:プレート当てて、一部(垂直に)ラグスクリューでちょこっと圧着させる。他にロッキングスクリューでプレート固定。イメージとしては創外固定に近いかも。

髄内釘:
回旋の評価:大腿骨。膝蓋正面にして、小転子を確認。内旋なら大。外旋なら小。健側陰影と比較する。

リガメントタキシス:骨折→筋肉、骨膜付着部を調節しつつ牽引するとその骨片は望ましい方向に整ってくる。牽引されると筋肉は骨幹部に水平力学的な圧を加え、骨片は本来の場所に収縮されやすくなる。その牽引力を伝達するのは関節包組織、靭帯、腱、筋付着部。

間接的整復法と架橋プレートの組み合わせ。多骨片骨折で有用。

創外固定:血行障害少ない、軟部組織障害少ない、装着早い、感染怖い時に使いたい
開放骨折:有用。皮下骨折:重度の多発外傷か挫滅かデグロービングか
超大事。骨幹部骨折も関節内骨折も。
でも関節内に突っ込んだり動脈・神経障害きたしたらシャレにならないので解剖大事に

管理:安定してたら長期の設置も可能。基本患者自分で管理可能。石鹸と水で洗って消毒薬を使用する。シャワーも可能。最初から部分荷重も可能。
※皮膚の被膜が不良だったり、軟部組織に問題があったりすると感染リスク高いので注意

皮切の小ささよりも血行の確保が大事。

骨折治療における問題点:
多発外傷:DCS適応する条件→生理学的条件(SIRS、アシ、凝固異常)か、重度・複雑・絡み合いって状況。多発外傷の1/3でDCS適応。
→骨折の修復は受傷後5-10日後。2次再建は3週目。
第一の目的は救命
蘇生・手術・タイミング p250

髄内釘:それ自体が肺塞栓症のリスク因子。髄腔内圧上昇し、塞栓子となる骨髄線分、フィブリン塊、デブリ(組織片)が肺循環へ流入。+塞栓は凝固反応も惹起。
意外に若者の方がハイリスク。

開放骨折:脛骨(20%)、大腿骨(10%)、橈尺骨(10%)、上腕骨(5%)くらいみたい?
初期評価、デブリ、安定化、再建、リハ
分類:Gustilo分類(1cm以下、1cm以上、軟部組織損傷で被覆可能・不可能、血管損傷)
初期評価;救命後→確認すべきは、
受傷の背景・機序、
四肢の血管の状態:末梢の脈の触知、再充満、色、温度、出血・ABIは遅い・微妙
皮膚の創の大きさ:写真。足はちょっと持ち上げる。ガーゼを開く時間は短く
筋肉の挫滅・欠損:とれるものは(無菌操作で)とる。
骨膜の剥離・壊死:オペ室
骨折のパターン、程度:オペ室
汚染:可能な限り確認
コンパートメント症候群:確認

抗菌薬はセファゾリン。GNRと混合感染疑って、3世代使うのは微妙。アミノグリコシドを染み込ませた骨セメント(PMMA)ビーズは良好そう。

開放骨折のGustiloとAnderson分類(ちょっと細かく)
Ⅰ:1cm未満の清潔な皮膚創。単純な骨折型
Ⅱ:1cm以上の皮膚創で軟部組織の損傷は広範囲でない。皮弁、剥離なし。単純な骨折
Ⅲ:上記より悪いもの全部

開放創は最初は開放(とりあえず)。閉鎖陰圧吸引システム(VACS)やこまめのデブリ
初回手術の目的①救命と患肢温存、②創のデブリ、③外傷の最終的評価、④骨折の安定化
※最終的評価:手術室で麻酔下に行う。そこでは「外科用手洗」と同様、つまり、石鹸と生食で徹底的に洗浄し、すべての汚れ、異物、汚染を除去する。そのあとは普通の手術。
損傷領域に関して。皮膚創に対して、真の創(軟部組織の損傷)は広範囲になりがち。外傷創を外科的に延長する場合が多い。
デブリに関して。皮膚の創縁、皮下組織、筋膜、筋肉を必要に応じて順番にデブリ。正常の判断は血流の有無とか。
typeⅢa,Ⅲbは区別がつきにくいので、1,2日開けてから2,3回目のデブリしたりする。
創のケアの終了後↓
typeⅠは普通に固定可能。それより重症の転位があるものに関しては、一時固定か最終固定かについては、不定。症例に応じてプレート、髄内釘、創外固定を選択。
やばいときには創外固定。

創は基本的に開放として、嫌気性菌が増殖しないようにする。頻回のデブリも可能。
創の繰り延べ閉鎖は通常2-7日に施行する。それまでは閉鎖吸引システムとか。
7日以上開放していると感染リスクが無視できなくなるので、まずは遷延一時創閉鎖(緊張をかけないように)。損傷によっては局所皮弁、遊離組織移植、筋肉皮弁使用を検討。
術後は早期離床。

手術の優先度
・最優先は救命。保存的処置に反応なければ即座に救命手術。
・反応が微妙(低体温、凝固異常、アシドーシス。重度な複雑・合併損傷)→ダメージ・コントロール手術(DCS)→灌流、パッキング、長管骨や骨盤輪の創外固定、創の一時閉鎖。
※多発外傷の患者の1/3がDCSの適応となる。
・治療反応良好で二期的評価も良好ならEarly total care(ETC)
※初日は救命手術、DCS、ETCどれか。2-3日は過剰炎症期でsecond lookのみ。5-10日は落ち着いてきて好機の窓の時期、ここで最終的手術。そのあとの12-21日は免疫抑制状態に入って手術は禁。3週以降は回復するので、ここで二期的再建術を施行する。

手術選択
・髄内釘は安定性に優れるが、肺塞栓症のリスクはつきまとう。合併損傷では特に
・創外固定は内因性的には害が少ない。

患肢温存か切断か
MESSスコア(エネルギーの大小、血圧、虚血、年齢で分類)
6点以下ならくっつきやすい、7点以上はくっつきにくい。切除検討。参考程度に

☆軟部組織損傷こそが患肢の運命を左右する重要な因子。皮膚・筋肉への血行。
被覆組織;皮膚、皮下組織、深部筋膜。
①欠損のある組織は何か。②どの深部組織が露出したか、を評価する。

組織
・皮下組織:脂肪組織で構成。血流は乏しい。損傷では肉芽の形成は乏しく、痂皮化。
→脂肪の層は切除して、血流に富んだ筋膜か筋肉に分層皮弁を直接あてた方が良さげ。

・筋膜:筋膜の浅層は繊細な結合織によって良好な血流があり、活発に肉芽組織を形成。
→剪断応力によるデグロービング損傷では、薄い筋膜層とその血流が破壊されており、肉芽の形成も植皮の生着も不可能で、切除するしかなくなる。

・筋肉:外傷がなければ血流が豊富で、肉芽組織によって植皮に最適の母床を提供する。

・腱:血流の豊かな腱鞘に包まれており、植皮の良好な母床となり、肉芽形成も良好。
→線維性の肉芽組織や植皮に癒着した組織は腱の動きを阻害→腱は通常組織弁で被覆。
※ちなみに筋膜皮弁はその深層が腱の滑走面を提供する点では筋弁より優れている。

・神経:露出した神経は血流阻害されているので、速やかに組織弁で被覆する。
・血管束は血流豊富で肉芽形成は盛んなので、長期の露出も可能。だけど、血管断裂のリスクなどを考慮すべき。血管損傷を静脈移植で修復した場合は組織弁で被覆するべき。
・関節が露出した場合も感染予防にすぐに被覆すべき。

軟部組織の被覆に使うのは筋膜皮弁がおすすめ。柔軟で関節の可動性も良好。血流も豊富で肉芽組織の形成も良好。ただし、骨折がある場合は別。骨折があると、肉芽組織は炎症・汚染→髄腔内感染につながる。そのため開放創は速やかに被覆すべき。
髄腔内が露出していない限りは骨膜が剥離していても感染リスクは少ない。待てる。
髄腔が露出しているかが非常に重要。

まとめ。大事なのは①受傷機序とエネルギー量、②欠損部の大きさ、③周囲の組織の性状と活性、④汚染の程度、⑤露出した構造の性状、⑥欠損部の自然治癒の見込み

ちなみに、軟部組織損傷の分類はどれも微妙なので気にしない。各々の特徴的だから?

・温存か切断か
軟部組織の挫滅が激しい→救命のための切断もある。
上肢:基本温存。
下肢:適合の良い下腿義肢は成績良好。ここは悩む。
どっちにしても救命の時以外は緊急での切断はしないものと考える。
評価で特に大事なのは後脛骨神経(足底の間隔)の脱落と筋肉組織の損傷。目安が本当に出てこない中で、この2つは初期治療と機能温存に相関でている。
開放骨折の治療として、
創の被覆と骨折の固定が一期的に行えるなら、髄内釘と即時閉鎖。
感染、デブリ微妙などの場合は、一時的に創外固定。
☆創外固定の注意点
緊急固定術は簡単で速いこと。ピンとフレームが軟部組織への進入の妨げになってはいけない。下腿では後方からの弁の移動を妨げないように内側と外側には何も置かない。ピンは損傷部位からは距離を置く。頻回のデブリと洗浄ができるようにフレームをすぐにゆるめることができるようにしておく。

デブリ:血行のない組織を切除。まだ明確に定まっていない。最近の傾向としては、皮膚の切除はそこまでせず、むしろ深部壊死組織を徹底的に切除している。
コンパ症予防に広範な筋膜切開をおこなうこともある。創が血行のある組織になるまで24~48時間毎にデブリを繰り返す。骨折端の洗浄は徹底的に行う。

・血行再建:まずは動脈から。静脈は後で。一時的動脈シャントは非常に有用。視野の確保のためには骨の安定化は大事だけど、まずは循環の確保から。また、虚血肢の再灌流はコンパ症を招くので、全例、遠位の筋膜切開を行う。

・骨の安定化:創閉鎖延期時には必ず創外固定。全周性の骨欠損なら抗菌薬ビーズ挿入
・創閉鎖:創外固定器で安定しているなら創の被覆は3~5日待てる。
fix and flap法:即時固定と皮弁。これは最初の徹底したデブリが大事。Gustiloの1と2なら可能。
農作業・高エネ外傷・感電などは繰り返しのデブリが必要になりそう。遷延一時被覆とか

軟部組織の修復:軽いのから順に
自然治癒かVAC、局所の形成術(菱形筋弁)、植皮、random patternの局所皮弁(回転皮弁)、局所有軸皮弁(島状皮弁)、回転筋弁、局所島状有形皮弁(筋弁、特に筋膜皮弁)、遠隔有形皮弁、局所で血管吻合を行う遊離皮弁(筋弁)、血管移植で血流を得る遊離皮弁(筋弁)
※VAC(vacuum assisted wound closure)持続陰圧吸引療法:大きな創で腱や骨が露出しているため、植皮の適応でない時によく用いる。肉芽形成後に島状有形皮弁を検討する。

具体的に:筋膜皮弁を使用
上肢→前腕撓側皮弁(近位で)、逆前腕撓側皮弁(手関節より遠位に)
下腿→被覆筋皮弁、足背動脈皮弁
露出骨には筋膜弁を、腱には筋膜皮弁(動きを阻害しないように)を用いる。
※遊離組織移植術は通常GustiloⅢb以上のもののみ
※遊離皮弁が生着しなかった場合:

被覆に使う組織、部位別。ザックリ。色々たくさんあるけど
上腕:小胸筋、前腕:広背筋、手:後骨格筋、遠位橈尺骨からの有形筋膜弁
※手の機能障害ありそうなら遊離皮弁は禁止

骨盤と大腿:微妙、外側広筋有形皮弁?、下腿1/3と膝関節:腓腹筋内側頭の遠位に基部を持つ島状皮弁、下腿1/3:微妙、ヒラメ筋弁が使われつつある?

足:足背:外果上皮弁と遠位に基部を持つ腓腹筋弁、踵:果上皮弁、腓腹筋


深部静脈血栓(VTE):予防。検査は凝固とエコーとヘリカルCT
・圧迫ストッキングは慣例として使用。
・下大静脈フィルタは微妙
・外科術前や外傷手術術前の予防的な低分子ヘパリン(LMWH:low molecular weight hepalin)の投与は全例やるべきだとかの提案はある。実際はどうか分からん。


術後疼痛管理
アセトアミノフェンをベースにする。10-15mg/kg→500-750mg/50kgを4-6時間毎に内服。成人なら500-1000mgを4-6時間毎に内服。1日4000mg未満にする。COX系ではなさげなので消化管潰瘍の副作用はなし。
NSAIDsやセレコックスなどは抗炎症あるけど、プロスタグランジン系の阻害は骨癒合に対しては有害的に働くことは意識して覚えておくべき。特に偽関節手術後は控えたい!

オピオイド:強さはコデイン(120)<オキシコドン(10)<モルヒネ(10)<フェンタニル(0.1)くらいで強さが違う。()内は等力のための分量。
術後の患肢挙上は簡便でおすすめ。

他には神経ブロックも。大事な技術なので勉強。
複合性局所疼痛症候群:これも勉強

骨折の診察:診察は愛護的に、最小回数で
戸惑うところ:↑の最小回数ってのが大事。具体的には、骨折部を動かすべきか否か。整形の本では愛護的に動かして轢音、疼痛を確認するとあるけど、救急の本では基本動かさずに神経・循環確認してすぐXp。ここでのやり方の違いは整形外科医は最終地点、救急医は中間地点であるための違い。研修医→救急医→整形医が愛護的に何度も疼痛誘発してたら患者はキレる。最終点の整形だけ動かしてもよい(骨折が明らかならやめるべきだし、やるとしても最小回数だけど)けど他の者はやるべきでない。
+骨折はXpで分からないのはよくあるので、骨折はないですよとは絶対に言わないこと。

☆丁寧に視診・問診・触診。他動運動で疼痛誘発するのは避けるべき。部位の指さしも。
まずは
主訴:明確に
現病歴
Onset:受傷機転、状況。
Position::部位からありがちなものを推測。
Quality:持続痛か間欠痛か
Time:
Radiation:放散痛
Severity:VAS(visual analogue scale:0-100mm)
Association:増悪・寛解因子、併存症状(発熱、感覚障害、麻痺など)
+AMPLE
・アレルギー:特にセフェム系抗菌薬(下痢はアレルギーでなく腸内細菌叢の変化)
・内服薬:抗凝固薬のワルファリン、抗血小板製剤、クロピドグレル、チクロピジンステロイド(易骨折)、降圧薬やベンゾジアゼピン系(転倒の原因)、NSAIDs(消化管出血)
・既往歴:内因性疾患が転倒などの原因になっていないか(ACS脳梗塞、出血からの貧血)、治癒遷延因子(糖尿病、末梢血管障害)、骨折起こしやすい原因(骨粗鬆症、癌の骨転移、骨形成不全)
・社会歴:飲酒、職業も?

視診:まずは歩行形態(自力歩行や車いすなど)。可能な限り脱衣する。女性は微妙。
触診:左右の比較を忘れない。健側から診察。疼痛の訴えのある箇所は最後に診察。熱感の触知には手背を用いる。自発痛・圧痛の部位を確認。神経(知覚)と血管(動脈触知、CRT)も
外傷で忘れたくないのは、筋・腱損傷での陥凹所見。
※外傷で動作は、まず自動運動ができるか否か。自動運動ができないなら他動運動させるべきではない。自動運動ができないという所見を取って満足する。その後に該当する部位のレントゲン撮影して読影する。不用意な他動運動は合併症を誘発することを忘れない。
※もうひとつ忘れがちなのが、内因性疾患の鑑別。
背部痛:狭心症、AMI、解離、急性膵炎
腰痛:腹部大動脈瘤、悪性疾患
肩痛:狭心症、AMI
後頚部通:髄膜炎くも膜下出血、AMI
最後に、外傷は一か所に限らないことも大事。

創傷処置
創=開放創。創傷処置は縫合。創傷処理は洗浄・消毒
⓪横になってもらって詳しく診察・処置:迷走神経反射などで倒れたらいかんので
・受傷機転:典型例などからの創の推測。処置を行いながら。創の周囲も調べる。
・いつ(6,8時間以内か)、どこで(室内or屋外、汚染)、誰が(自傷か他傷か)、どんな感じで(受傷機転:超大事)、どうして(外的因子or内因性因子)
①創の観察:場所と深さ+性状【切創、刺創、挫創・割創、咬傷】
二次感染を防ぐために多めの滅菌ガーゼと包帯で被覆。デジカメで撮影。何度も見ない。
活動性出血があったら、出血点をピンポイントでやさしく押さえる。強くしない。
大事なのは出血点を確認して、創部挙上して、ガーゼの上からじっと押さえる。
※出血が止まらない時はクランプ必要だけど、必ず展開して目視下に止血する。
・切創:カッター、鋭い。汚染がなければ洗浄のみで縫合可能。
・刺創:ナイフ、深い。奥が見えない。血管・神経の軟部組織の評価が大事。
・挫創・割創:皮膚・皮下組織の挫滅を伴う。感染怖い。デブリが大事。
・咬傷:犬・猫・人。創周囲の発赤・腫脹。高率に感染。十分デブリ
分類
・刃物で刺す→刺創(鈍いやつで刺されてたら杭創)。切る→切創(斜めなら弁状創)。鈍い切り口→割創。
・挫創:圧挫による開放性損傷。皮膚損傷ない時は挫傷で、皮膚損傷が高度なら挫滅創。
・裂創は引っ張られて裂けた場合。
※深さ;筋膜の損傷→筋膜縫合。皮下・筋層の損傷による創内血腫に注意→深い縫合はマットレス縫合で。
②軟部組織損傷の評価
・主要動脈の損傷(末梢側の脈拍の触知、毛細血管再充満時間:2sec以上で異常)
・神経損傷:知覚の確認。
・運動障害:筋・腱確認。これは術前の状態として陰性所見も必ずカルテに記載する。関節包の損傷の評価も大事。
③異物・骨折の評価
・異物確認のためにx線。ガラスは写るが、木片は写らないので注意。
・骨折あったら、開放骨折の治療に準じる。創の上下1関節は診察するよう努める。
④輸液・抗菌薬:セファゾリン3日。汚染高度でGNRも含めるならゲンタマイシンも追加
⑤麻酔・手術の準備:汚染が高度な場合は全麻での処置もありうる。6時間の時間に注意
開放骨折のGustilo分類:Ⅰ→1cm以下で汚染なし、Ⅱ→1cm以上だけど広範囲の拍悲壮なし、Ⅲa→広範囲の剥皮創あるけど、被覆可能。高エネルギー外傷。Ⅲb→骨膜剥離や骨露出を伴う。高度汚染あり。Ⅲc→修復を必要とする動脈損傷あり。
☆処置:仰臥位で。
①麻酔:表皮消毒後、局所麻酔。キシロカイン1%(極量は40㎎、40ml程度)痛みに応じて。
※汚染が少ないなら皮下(傷口)から、汚染が高度なら表皮から。
②洗浄・ブラッシング:水道水、生食で大丈夫。大量(汚染創なら2L、開放骨折でⅠ型は3L、Ⅱ型は6L、Ⅲ型は9L)に使って強めの水圧で流す。頭髪はカットできる。眉毛は生えてこないからカットできない。流しきれないものは直視下で鉗子を用いて除去し、滅菌された軟らかい歯ブラシなどで愛護的にブラッシングする。
消毒液は創内に入れない。「眼に入れないのは創にも入れない」の原則。
③挫滅・汚染組織のデブリ:目的は壊死組織を切除して、正常組織同士がくっつくようにすること。切除ラインで血流が十分にあることを・正常組織が露出していることを確認する。顔・手のデブリは最小限、他はしっかり。だけど、個々の症例で血行変わるので経験
デブリに際しては、創の清浄化のために施行すること、創が大きくなること、デブリをしても感染や壊死の可能性がゼロでないことを説明する。メスで鋭的に切除。
④縫合:縫合糸は創底部まで通し、死腔の形成を避ける。死腔は血腫・感染のリスク。だいたいナイロン糸を使う。ナイロンは炎症反応少ないし、モノフィラメント(ブレイド、編み糸は繊維と線維の間に最近が入り込む)。通常は4-0ナイロン、4-0PDS。
※顔面は5-0の細いナイロン。整容的に、きつく縛るマットレス縫合は痕が残りやすいので禁忌。抜歯は早めの3-5日。眼や口唇などの繊細なところは当日はステリで傷を寄せるだけにして、後日形成受診するのが良さそう。
※頭皮は基本ステイプラー。高頭部だと寝るとき痛いので控える。
縫合の原則は①死腔を作らない。②皮膚の各層(表皮、真皮、皮下組織)をきちんと合わせる。③表皮を盛り上げるように(外反させる)する。内反はダメ絶対。④縫合はきつく締めつけ過ぎない。あくまで接合。
刺入の距離の目安:刺入点から創までの距離=縫合と縫合の距離。
フォロー:翌日に創感染のチェック。発赤・疼痛・排膿あれば抜糸し、再デブリ。縫合をやり直す。抜糸は顔面なら3-5 日後、その他は7日、関節面なら(血流少ないので)10-14日。
※創は基本的に48時間で上皮化するのでその後の消毒処置は不要。
※包交は創の観察を目的としていることを忘れない。

縫合テクニックは…

カルテ
・年齢、性別→何時、こんな受傷機転で受傷。内因性因子、既往・内服薬。
・創は何cmx何cmの何創を認め、軟部組織の脂肪や皮膚の剥奪の有無、血行動態を認める。神経損傷、腱損傷、関節包損傷、骨折の有無。
・処置は生食何Lで洗浄し、異物の有無。(4-0何とか縫合糸で何針皮下縫合、深い時)、4-0ナイロンで何針短針結節縫合した。
破傷風トキソイド(高度汚染の時、適応曖昧)を筋注し、皮膚壊死に注意しながら外来フォローとする。患者、その家族に、異物残存の可能性、創治癒不良、感染のリスクを説明。