骨折の診察

骨折の診察:診察は愛護的に、最小回数で
戸惑うところ:↑の最小回数ってのが大事。具体的には、骨折部を動かすべきか否か。整形の本では愛護的に動かして轢音、疼痛を確認するとあるけど、救急の本では基本動かさずに神経・循環確認してすぐXp。ここでのやり方の違いは整形外科医は最終地点、救急医は中間地点であるための違い。研修医→救急医→整形医が愛護的に何度も疼痛誘発してたら患者はキレる。最終点の整形だけ動かしてもよい(骨折が明らかならやめるべきだし、やるとしても最小回数だけど)けど他の者はやるべきでない。
+骨折はXpで分からないのはよくあるので、骨折はないですよとは絶対に言わないこと。

☆丁寧に視診・問診・触診。他動運動で疼痛誘発するのは避けるべき。部位の指さしも。
まずは
主訴:明確に
現病歴
Onset:受傷機転、状況。
Position::部位からありがちなものを推測。
Quality:持続痛か間欠痛か
Time:
Radiation:放散痛
Severity:VAS(visual analogue scale:0-100mm)
Association:増悪・寛解因子、併存症状(発熱、感覚障害、麻痺など)
+AMPLE
・アレルギー:特にセフェム系抗菌薬(下痢はアレルギーでなく腸内細菌叢の変化)
・内服薬:抗凝固薬のワルファリン、抗血小板製剤、クロピドグレル、チクロピジンステロイド(易骨折)、降圧薬やベンゾジアゼピン系(転倒の原因)、NSAIDs(消化管出血)
・既往歴:内因性疾患が転倒などの原因になっていないか(ACS脳梗塞、出血からの貧血)、治癒遷延因子(糖尿病、末梢血管障害)、骨折起こしやすい原因(骨粗鬆症、癌の骨転移、骨形成不全)
・社会歴:飲酒、職業も?

視診:まずは歩行形態(自力歩行や車いすなど)。可能な限り脱衣する。女性は微妙。
触診:左右の比較を忘れない。健側から診察。疼痛の訴えのある箇所は最後に診察。熱感の触知には手背を用いる。自発痛・圧痛の部位を確認。神経(知覚)と血管(動脈触知、CRT)も
外傷で忘れたくないのは、筋・腱損傷での陥凹所見。
※外傷で動作は、まず自動運動ができるか否か。自動運動ができないなら他動運動させるべきではない。自動運動ができないという所見を取って満足する。その後に該当する部位のレントゲン撮影して読影する。不用意な他動運動は合併症を誘発することを忘れない。
※もうひとつ忘れがちなのが、内因性疾患の鑑別。
背部痛:狭心症、AMI、解離、急性膵炎
腰痛:腹部大動脈瘤、悪性疾患
肩痛:狭心症、AMI
後頚部通:髄膜炎くも膜下出血、AMI
最後に、外傷は一か所に限らないことも大事。