心不全:心臓に起因する臓器の灌流不全に基づく症状→明確な定義はない。
心臓がきちんと働いていないっぽいってのを、それっぽいと判断できるか。総合的な診断
☆心臓の機能が落ちた徴候を心臓以外の部位で見つけて初めて心不全となる。
①下腿浮腫(右心)や咳嗽・呼吸困難(左心)などから疑って
②病歴確認(特に心不全の既往)
③リスクの評価(狭心症と似てる)
④バイタル、身体所見で見当をつけて
⑤胸部xp、エコー、心電図、血液検査(BNP,トロポニンも念のため)
⑥crinical scenarioに沿って初期対応。
⑦専門医コンサルト
具体的に
①右心不全徴候:頸静脈圧上昇・拡張、肝腫大・腹水、下腿浮腫
 左心不全徴候:咳嗽・(泡沫状)喀痰・呼吸困難、肺うっ血、胸水、wheezes/crackles
②呼吸困難:労作時呼吸困難→夜間安静時呼吸困難(深夜の咳も怪しい)→起坐呼吸
(起坐呼吸は肺疾患でも生じうるので、心不全とは決めつけない)
※体重増加は呼吸困難の前段階から出現していることが多いので心不全の既往には聴取
③リスク要因:心不全の既往、冠動脈疾患の既往+狭心症のリスク(心筋梗塞の既往、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴)、COPDの既往も
※きっかけは服薬アドヒアランスの低下、感染症不整脈、ストレスなどあり注意
おまけ:心筋虚血がないのに急激な肺水腫を繰り返す→腎動脈狭窄症を疑う。
④バイタル:一般に頻脈、拡張期血圧≧105mmHgなら拡張障害を、心拍数>拡張期血圧なら収縮障害を考える。脈圧低下=末梢冷感=(sBP-dBP/sBP<1/3-1/4)は心係数低下を示唆
 身体所見:どっち不全かは気にしない所見→頸静脈怒張(VJD)や肝頸静脈逆流(AJR)、肝うっ血(肝脾腫・肝叩打痛)、下腿浮腫、ラ音(wheezeも)
 ※左心不全を示唆する数少ない所見→ラ音、肺底部の強い両側性の断続性雑音。Ⅲ音も
☆Ⅲ音聴取のために:左室流入圧上昇とも左室収縮脳低下とも相関が強く、是非聴く。
→左45度側臥位で心尖部にベル型聴診器を軽く胸壁に置く。正直難しい。
+心尖拍動確認して心拡大の有無を確認する。(鎖骨中線より内側にあることを確認)
確認できなかったらしゃーない。
⑤胸部xp:心拡大も大事だけど、肺うっ血所見のKerley B lineも大事。最も早期に見られる血流再分布:ふつうは下の血管の方が太くなるけど、うっ血して、下葉の細胞外間質に貯留した液体により下葉の肺コンプライアンスが低下→血管圧迫して下葉の血管が細くなり、上の方に血流が行って、上側の血管が太く映る状況を指す。これも大事かも。
+α:肺水腫が心原性か否か。vascular pedicle with(VPW)>70mm, CTR>55%は心原生ぽい

心エコー:IVC径。健常者は15mm程度。呼吸性に2/3が虚脱。脱水だと、径が10mm未満で呼吸性に完全に虚脱。volume過多だと、径20mm以上で呼吸性変動が1/3未満。

心電図:なんでも。不整脈でも虚血でも。
血液:BNP→カットオフ値は50-100pg/ml。体形や年齢、腎機能でも変わるので都度確認
可能性を高めるか低めるかくらいの参考値?

心不全っぽいと思ったら→クリニカルシナリオに沿って対応。
そもそもクリニカルシナリオって
CS1:急性発症+sBP>140mmHg、急性びまん性肺水腫:感染かなんか色々あって、末梢血管収縮(血圧上昇)→前負荷増大→肺水腫→息苦しくてぜーぜー言ってる。
→ミオコールの噴霧・舌下(動脈静脈冠動脈を全部拡張、特に静脈)+RAS系の降圧薬
CS2:緩徐に発症、sBP100-130mmHg、左室充満圧や静脈圧が慢性に上昇して心臓がばてて徐々にEF低下。全身が浮腫ってきて肺もちょっとうっ血。少し息苦しい。
→利尿(慢性的な水分貯留ある時、フロセミド20mg~)+硝酸薬
CS3:急速or緩徐進行。低灌流→まずは容量負荷。血圧100未満持続するなら血管収縮薬(ノルアド、ドブタミン、PD-E阻害薬も?)
CS4:急性冠症候群→硝酸薬
CS5:右心不全、全身性の静脈うっ血→容量負荷は避ける。右心が死にかかってる?→血圧90未満なら強心薬、90以上で体液貯留なら利尿薬、血圧上がり悪いなら、血管収縮薬。

NPPVは超大事CSでは124で使う。
酸素→非侵襲的陽圧換気は積極的に使う。SpO2:90%以下で呼吸困難を伴っていればすぐ使う。(CPAP, BiPAP)
※ミオコールスプレー:基本的に1回1噴霧で舌下にスプレー。だめなら追加でもう1回

☆非循環器専門医が救急外来において接触時の初期収縮期血圧に基づいて迅速に患者を層別化し、救急外来到着早期(90-120分)にどう対応すれば良いのかに関する提言であり、症状を軽減するための初期治療としての位置付け。
多くは入院治療が必要になりますが、入院治療方針を示すものではありません。
CS1で入院した患者の57%に入院後4.5Kg以上の体重減少が見られたとされていて、CS1でも体液貯留評価は大切。

⑦専門医コンサルト
さすがに原因の精査はしないでよいと思う。
ただ、原因として、弁膜症、不整脈心筋梗塞、心筋症などの他に甲状腺機能低下・亢進があったり、重症貧血、肺塞栓も原因としてはあるので、血液検査出すくらいはいいかも

参考にフラミンガム
大項目:発作性夜間呼吸困難、頸静脈怒張、肺の湿性ラ音、心拡大、Xpで肺水腫、Ⅲ音
小項目:下腿浮腫、夜間咳嗽、労作性呼吸困難、肝腫大、胸水貯留、肺活量低下、頻脈

wet,warmのNohria-Stevenson分類
うっ血所見;起坐呼吸、頸静脈圧の上昇、浮腫、腹水、肝静脈逆流
末梢低灌流:小脈圧、四肢冷感、傾眠傾向、低Na血症、腎機能悪化
なしなしのdry-warmが健康。うっ血あったらwet。末梢低灌流あったらcold
Forresterは…