ショック(60%敗血症、心原生15%、血液減少15%、閉塞性2%この集中治療室での率)
本態は組織血液灌流低下。血圧低下も循環量低下も組織灌流低下の一因くらい。
治療と原因検査を並行して進める。詳しい鑑別は、組織に近い所から除外していく?
⓪そもそも本当にショック?→shock index:心拍数/収縮期血圧>1.0でショック前のヤバいやつを把握。ショックの大定義:sBP<90mmHg(普段の血圧が180なら120でもショック)
小項目(3つ以上):心拍数>100bpm、微弱脈拍、毛細血管再充満時間(>2sec)、意識障害(JCS2以上、GCS10点以下)、乏尿、無尿(<0.5ml/kg/時間)、皮膚蒼白・冷汗・39℃発熱
イメージ:血圧下がって、微弱・頻脈になって、頭・腎・末梢に血液がいかない。+熱
外国だと、頻呼吸、乳酸(>2mmol/L)、base excess(<-5)、網状皮斑、低体温(36℃)も
ショックと診断したら
・まずはサルも聴診器(酸素、ルート、モニター、超音波、心電図、胸部xp)
※ルートは2本、太いヤツ(18-20G)外液。生食、リンゲルなんでも。
・次に心不全を除外<心不全の既往、胸痛、起坐呼吸、頸静脈怒張、両側肺側底部ラ音>
→1つでもあったら心電図、胸部xpを急ぐ。意識↓だと上記は微妙?
心原生ショック(特に左室梗塞で肺うっ血)だけは治療に大量輸液ができない。
治療:右室梗塞(肺うっ血なし)→NS250ml(1時間で投与)
肺うっ血あり→ドパミン(イノバン150mg/50ml→3mg/ml:50kgなら3㎎/hだから、1ml/hで1γの計算ができる便利なやつ、2γから心収縮増強なので2-3ml/hからスタート)
※実際は昇圧のためにはノルアドが最良らしい。確かにドパミンがα1優位で昇圧作用持つのは10γ→10ml/h(50kg)。そんなに高容量でやるよりはノルアドの方が良さそう。
→ノルアド:1mg/ml/Aを3つ3mg+NS47mlでノル生(3mg/50ml)を作る。投与量はイノバンの1/50の濃度から1γに50倍量が必要→1γ=50ml/hで投与量は0.1γくらい→5ml/h
→さらに、開始量は0.05γからなので、2.5ml/hで開始。

☆実際のおおまかな鑑別は、頸静脈の虚脱(仰臥位)or怒張(45度、右、ライト)と末梢の温感(+毛細血管再充満時間)の2点で確認(75%が可能)
①四肢末梢の温感と脈圧大あり→CO大→血液分布異常性ショック(敗血症、他脊損、アナフィラキシー)
②頸静脈(右心系)の評価:頸静脈の怒張・虚脱、四肢末梢の浮腫の有無
→頸静脈虚脱+四肢末梢の浮腫なし→循環血液量減少性ショック→輸血・輸液
③頸静脈怒張:(Jugular venus pressure)診察自体難しい。ストレッチャーで45度の座位。頸部後ろに枕を入れて胸鎖乳突筋の緊張を解く。左を向かせて、右の内頸静脈(内!)の拍動を確認する。胸骨柄から垂直に4.5cm上の所に拍動を確認できたら頸静脈怒張していると判断する。頸動脈と判断が難しい。特徴としては、頸静脈は穏やかで2相性、吸気で高さ・強さが増強する。45度、4.5cmは覚えやすい。日常的に確認する癖をつけて練習するべきか。
→胸部聴診と触診で、片側胸や片側呼吸低下なら緊張性気胸
→両側ラ音、3音などあったら心原生ショックを考える。←難しい?
心原生ショックは最初に除外したいけど、身体所見から(特に頸静脈怒張を)判断するのは困難と思う。所見にこだわり過ぎない。だから検査が大事。特にモニター、心電図、超音波
・特に、原因がはっきりしない時の心・腹エコーは超有用。心原生は急性心筋梗塞不整脈、弁膜症だけど、身体所見からは正直よくわからん。真っ先に除外したい心原生疾患が身体所見では一番診断しにくいってことが、ショックの診断を難しくさせている印象。
だからこそ頸静脈怒張の所見はとても重要。心原生なら循環器内科コンサルト→特異的治療。実際はVscanで心臓の動きを直で見た方が早い気がする。

※治療
・敗血症性ショック→大量輸液+ノル生(3mg/50ml:2ml/hから)+各種培養提出後、エンピリカルに抗菌薬。鑑別よりか、60分以内に抗菌薬を開始することの方が大事。
考え方はGPCとGNRどっちもカバーするけど、感染の状況によってGNRの幅が変動する。
市中、健康人なら大腸菌くらい。院内、易感染なら緑膿菌までカバーとか。
市中:ロセフィン1g+<バンコマイシン1.5g+30g注射用水→NS300ml→60分点滴>12時間毎
院内:タゾピペ(ゾシン)4.5g6時間毎orセフェピム(マキシピーム)2g8時間毎orメロペネム1g8時間毎 + バンコマイシン1.5g(上と同じ用法)
※でも、例えば市中肺炎だったとしても、COPD、DM、心・腎不全、腫瘍など易感染になりそうなものがあったら、緑膿菌もカバーする?
→治療効果判定に血中乳酸値を定期的に測定
アナフィラキシーショック→原因はわりとはっきりしがちなので、あんんまり診断には困らなそう。バイタルチェックして、アドレナリン(ボスミン)筋注1mg/mlを0.3ml、大腿の外側広筋へ。改善しないなら、5分毎に繰り返す。
他には臥位+下肢挙上、酸素6-8l/分、ルート+NS(血圧低下あれば5分で250-500ml入れる)
その後で、抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンマレイン酸(ポララミン)1A5mgiv +H2blockerのガスター1A15mgiv
最後に予防的にリン酸系のステロイドのデカドロン8㎎poでよい?
☆2相性の反応が10%くらいの確率で10時間後くらいに起こりうる。そのため24時間は経過観察入院させるのが無難。

・循環血液量減少→基本輸液+輸血のみ。昇圧剤は使わない。こちらは、出血源の検索の方が大事かも。消化管→内視鏡的止血術。外傷→エコー、CT→開腹止血術。

・閉塞性ショック
緊張性気胸→ハッピーキャスあたり使って、生食入れたシリンジにつないでいれる。場所は第2肋間鎖骨中線上肋骨上縁(胸骨柄のちょっと下からつながってる。)実際は専門の先生にやってもらう?
心タンポナーデ→輸液+循環動態不良なら心嚢ドレナージ→どっちにしろ専門コンサルト
肺塞栓→バイタル管理→コンサルトが大事
※肺塞栓の時、右心不全+低血圧の時に容量負荷すると左心が右心により圧迫されて循環動態圧迫することがある。心血管内科まわってた時のアレ。血圧低下してたらノルアド(3mg/50ml 2ml/h)、低下してなかったらドパミン(イノバン3ml/h)、ドブタミン使用。
抗凝固剤、抗血小板薬使用は専門コンサルトした後か。

原因が全く分からない時
→2つ以上の原因があるかも
→心拍出量高い時→甲状腺クリーゼ、肝炎、膵炎、動静脈ろう、など
→輸液に反応悪い→出血見逃し。副腎不全(皮膚・爪の色素沈着)、微妙なアナフィラキシー、脊髄損傷。下垂体卒中とかも→電解質?頭部含めた全身CT?ここまでくると鑑別は専門に投げた方が無難?

 

☆γ計算混乱しがち;ドパミン(イノバン)これ基準。150mg/50ml=3mg/ml, これは50㎏換算での1γ=3mg/mlに都合が良い。→γ量とml量が等しくなってくれる。2γ=2ml/h
ここでノルアド生食(3㎎/50ml)。こちらは1γ=3mg/mlで考えた場合、1γ=50ml必要になっている。これは、体重と同じ1γ→50ml=50kg。1γだと、体重kg×γ=投与量ml/h
↑間違い。1γ=1μg/kg/min=0.06mg/kg/h。ノル生=3mg/50ml=0.06mg/mlだから、
1γ=1ml/kg/hで計算できる。0.05γ×体重50kg=2.5ml/hでOK.
まあ、どっちも2ml/hくらいで開始して漸増させていくからあまり気にしないでよい?